北越後だより

2020年10月30日

酒器でお酒の味が変わるって本当?

いつもドタバタ、笑顔の絶えない菊水家の人々。 天高く馬肥ゆる秋。休日の昼下がりは、焼き芋のおやつタイムが始まろうとしています。 もろみちゃんは食器棚で何やらガサゴソ探している様子だけど……。   ・・・・・・・・・・・・・・   げんしゅパパ:食欲の秋。焼き芋が美味しい季節がやってきましたねぇ。 ふなぐちくん:松茸やトリュフも旬を迎えましたねぇ。 からくちママ:サンマは高くて手が出ませんねぇ。 ふなぐちくん:いよいよ鮭児(ケイジ)の季節ですねぇ。 げんしゅパパ:それは知りませんねぇ。 ふなぐちくん:1万匹に1匹しか獲れないと言われる“幻の鮭”のことですねぇ。 からくちママ:お高いんでしょうねぇ……(ため息)。 ふなぐちくん:さ、ほら、お芋、食べよ!ママ、鮭のことは忘れてさ。ふなぐち、もっと他に秋の味覚はいっぱいあるだろ。で、もろみはどうした?もろみ〜、牛乳のコップならもう用意してあるよ。 もろみちゃん:水玉のグラスが見つからないの。あれで飲みたいの。 げんしゅパパ:ああ、そうだった。もろみは、牛乳を飲むのは水玉グラスって決めてるんだったな、ごめんごめん。 もろみちゃん:あったー!だって、牛乳はこれで飲むのがいちばん美味しいんだもん。ジュースなら琉球ガラス、お茶ならお寿司屋さんでもらった漢字いっぱいの湯飲み。 ふなぐちくん:チョイスが渋い。 からくちママ:そういえば、パパもいろんな酒器を持ってるわよね。出張のたびに、いいの見つけたんだーって買ってきて。使ってるの見たことないけど。 げんしゅパパ:その通り、ワタシは酒器が、 からくちママ:「だいしゅき」ってか。 もろみちゃん:オヤジギャグー! ふなぐちくん:不発―!ぎゃはははは。 げんしゅパパ:えぇと。ママ、ワタシたちはちょいと一杯やりますかな!   げんしゅパパとからくちママが、それぞれガラス・磁器・陶器・木(漆器)の4種類の酒器を用意。   げんしゅパパ:第1回、酒器タイプ別・日本酒飲み比べ大会〜! 全員:ドンドンドンドン、パフパフパフ、ワンワンワン! げんしゅパパ:今日はこの4種類の酒器で、同じお酒を飲み比べてみたいと思います。 からくちママ:いただくお酒はコチラ!「ふなぐち菊水一番しぼり」です。 ふなぐちくん:説明しよう! 菊水「ふなぐち菊水一番しぼり」は搾りたての生原酒を開発のアルミ缶に詰めた、フルーティな香りと濃厚な旨味を楽しめるお酒です。 げんしゅパパ:相変わらず、お酒のことはやたら詳しいなあ、ふなぐちは。お酒を飲んだこともないくせに。 もろみちゃん:ないくせに〜。 げんしゅパパ:いつもは、プシュッと開けて、缶のままいただいていますが、今日はこの4つの酒器に移して飲んでみましょう。 では、ティスティングのスタートです。   <ガラス> からくちママ:甘み、酸味、コク、いろんな味がはっきりわかる。香りもストレートにくる感じ。 げんしゅパパ:「ふなぐち菊水一番しぼり」らしい濃厚な味わいが、よく出ている。美味しい!   <磁器> からくちママ:あれ? 香りが穏やかになって、甘みも少し抑えられたような気がする。 げんしゅパパ:確かに全体的に穏やかになって、より飲みやすくなった。美味しい!   <陶器> からくちママ:あ、これはさらにやさしい味わいに。まろやかな印象だわ。 げんしゅパパ:スルッと飲める感じ。美味しい!   <木(漆器)> からくちママ:へぇ〜、これはいちばんスッキリしてる。ずいぶんと変わるものね! げんしゅパパ:こりゃスイスイ飲めちゃう口あたり。美味しい!   もろみちゃん:パパはどうせ、ぜんぶ美味しいんだもん。 げんしゅパパ:みんな違って、みんないいんだよ! からくちママ:私は陶器が好きだわ〜。それにしても、こんなに違いが出るとは思わなかったから、ビックリ。あれ? どうしたの、ふなぐち?目を見開いて ふなぐちくん:そう、ガラス・磁器・陶器・木(漆器)という酒器の違いは、衣服にたとえることができます。ガラスの酒器は言わばぴったりしたドレスのようなもの。着る人の身体の線をきれいに出してくれますが、ややもすると贅肉がついている部分も隠さずに見せてしまいます。つまりお酒そのものの味わいを、大胆に、そして華やかに見せてくれるのです。磁器はゆったりしたドレスです。身体の線は見せつつも、二の腕や太ももなど、ちょっと隠したいところをほどよく隠してくれる、エレガントなドレスのイメージです。 げんしゅパパ:ふなぐち、ふなぐち、大丈夫か?言っていることには完全に同意するぞ。続けて。 ふなぐちくん:陶器は着物のようなもの。身体の線を出す美しさとは違った、調和のとれた優雅さがあります。そして木は、着物の上からさらに割烹着を着るようなもの。ふわっとしたシルエットで身体の線はまったく見えなくなっていますが、落ち着いていて温かみのあるイメージです。 からくちママ:ふなぐちはお酒のこととなると、たまに誰かが憑依したようになるから、我が子ながらコワいわ。でもそれ以上に、ためになるわ。 もろみちゃん:ためになるわ〜(笑)。 からくちママ:確かに、ふなぐちの言う通り、ガラス・磁器・陶器・木(漆器)の順番で、「風味がハッキリ」から、全体がだんだん落ち着いていって、「まろやか」になっていったと思うの。 げんしゅパパ:うん。だから、吟醸酒のような繊細なタイプは、ガラスが合っていそうだね。逆に吟醸酒を木の酒器で飲んでしまうと、せっかくの繊細な香りや味を感じにくくなってしまうだろうね。 からくちママ:旨味や酸味が強い濃厚なタイプのお酒は、陶器や木の酒器でいただくと、よりまろやかな味わいで楽しめるかも。酒器って、奥が深い! もろみちゃん:私は冷たい牛乳を飲むときは、薄〜いグラスで飲むのが好きなんだ。ジュースは厚い琉球ガラスがいいの。 ふなぐちくん:もろみさん、あなたは鋭い!その通り、器の厚みもポイントなんです。同じ素材でも、厚みによって味の感じ方が変わります。そして、形は香りの感じ方に影響するのです。だから、素材の違いで飲み比べするときには、できるだけ同じ形で、同じくらいの厚みの器で試すのがおすすめです。 げんしゅパパ:ふなぐち、何から何までありがとう。素材、厚み、形状、それから飲む温度もいろいろあるよね。そう考えると、同じお酒でも楽しみ方は無限に広がる!宇宙だよ、これは。ママ、おうちに宇宙があったよ! からくちママ:それでは、もう1缶開けてと。パパとママはこれから宇宙遊泳に行ってまいります。 ふなぐちくん・もろみちゃん:ラジャー! ワンワン!   終わり 酒器情報・取材協力/「大塚 はなおか」 文/渡辺 高 イラスト/かとうとおる  

2020年09月16日

おうちで「キャンプ気分」を味わってみよう!

いつもドタバタ、笑顔の絶えない菊水家の人々。 今日は、朝からみんなでリビングルームの家具をスッキリ片付けて、なにやら始めようという様子。 ホントは今年の夏、子どもたちをキャンプにデビューさせる予定だったけれど、やむなくステイホーム。 おうちでキャンプ気分を味わってみることにしたのだが……。   ・・・・・・・・・・・・・・   げんしゅパパ:いやー、テントも無事に張れたし、気分がいいねぇ。 もろみちゃん:いいねぇ。 からくちママ:テント張るのに1時間もかかるとは思わなかったわよ。 ふなぐちくん:アーンド、テーブルとチェアを組み立てるのに20分。これが実際に炎天下のキャンプ場で行われていたかと思うと、ゾッとしますよ。 げんしゅパパ:ま、いいじゃないか。予行演習になったわけだし。 ほら、キャンプ用品には他にもいろんなものがあるんだぞ。最近は便利な道具がたくさんあって、キャンプもとっても快適になりました。昔はもう大変だったんだから、テント張るのも、ごはんを作るのも。 からくちママ:今日より大変って、どんだけ苦労してたのよ! げんしゅパパ:……ともかく、今のキャンプ用品は本当にすばらしいです。 では、問題。キャンプで使うのにすぐれている道具とは、どんなものでしょうか? チッチッチッチッチ…… ふなぐちくん:ピンポン! 安い!! げんしゅパパ:や、安いにこしたことはないよね! もろみちゃん:ピンポン! 高い!! げんしゅパパ:うっ、確かにいいモノは、得てして高かったりするよね! からくちママ:そういえば、パパ、最近、調子に乗ってポチりすぎよ(ギロッ)。 ふなぐちくん:ピンポン! 保証期間が長い! げんしゅパパ:ほしょ……ふなぐち、お前、わざとやってるな。ブーー! キャンプで使うのにすぐれている道具とは、第一に「機能的」であることです。たとえば、野外で多少乱暴に扱っても壊れない頑丈さ、そして無駄のないデザイン。折りたたんでコンパクトになる携帯性などが、そうですね。 もろみちゃん:そうですね! ふなぐちくん:第二に「環境にやさしい」こと。ゴミを出さない、もしくは、ゴミを減らすための工夫があることも大切ですね。 げんしゅパパ:わかってるんじゃないか! からくちママ:第三に「主婦にやさしい」こと。せっかくのんびりしにきたのに家にいるより忙しいなんて、まっぴらゴメンこうむりたい。 げんしゅパパ:うぉっほん(むせて)、じゃ私はごはんでも作ろうかな。さ、ママはどうぞゆっくりしていてください。これでも飲みながら。 もろみちゃん:あー、きくすいだー。 ふなぐちくん:出ました、菊水の「ふなぐち菊水一番しぼり」! 説明しよう! かつて、搾ったばかりの加熱処理も割水もしない生原酒「ふなぐち」は、菊水の酒蔵を訪れた人だけが味わえる特別なお酒だったといいます。その評判はクチコミで広がっていきましたが、あまりにもデリケートなお酒であるため、品質の保持がむずかしく、商品化は困難でした。 もろみちゃん:真実はいつもひとつ! ふなぐちくん:それは、○ナン。商品化が「こんなん」だったのです。 しかし、菊水は諦めませんでした。開発から実に3年の月日が経った1972年、試行錯誤の末に日本初の缶入り生原酒の商品化に成功します。 からくちママ:あいかわらず、ふなぐちはお酒のこととなると天才的な記憶力を発揮するわね、お酒飲んだこともないのに。 げんしゅパパ:「ふなぐち菊水一番しぼり」は日本酒の常識をくつがえす画期的なスタイルでみんなをビックリさせたんだ。プシュッと開けてみると、フレッシュな味わいと喉ごしで二度ビックリ。今ではコンビニでも買える、とっても身近なお酒になっているんだよ。 もろみちゃん:きのうてき? げんしゅパパ:パチ、パチ、パチパチパチパチ!(スタンディングオベーション)はい、みなさん、もろみさんに拍手を。そうです! 私が言いたかったことは、まさにソレ。「ふなぐち菊水一番しぼり」は機能的で、キャンプにうってつけなんです。 ビン入りとは違ってアウトドアでも持ち運びなどが便利。フタが付いているので、飲んでいる途中にフタをしておけばホコリや虫が入る心配もなし。キャンプ場近くのコンビニで調達できる点も見逃せませんよ。   夕食後、ランプが灯る薄暗い部屋で、げんしゅパパとからくちママはお酒をちびりちびり。 子どもたちはあやとりをしながらまったり。。。   ふなぐちくん:こうして電気を使わずに過ごしてみるだけで、別世界に来たようだよ。楽しいね。 これで虫の声でも聞こえると、もっと雰囲気が出るんだけどなあ。そうだ、こういう時こそAIスピーカーの出番だ。「シリクサ! 虫の声を流して」   「ハイ、ナントカチューブで、鈴虫の声を再生シマス」  ……リーンリーンリーンリーンリーンリーン……   からくちママ:なんだかロマンチックね。ココならキャンプ場と違って蚊も蛾も来ないし、雨が降っても大丈夫。洗い物も水場まで行く必要もないし。テントがうまく張れなくても安心だし。シリクサもいるし。普段の暮らしって、そう考えてみると…… もろみちゃん:きのうてき?   全員:はははは! ワン! ワン!   げんしゅパパ: 早くキャンプ場で「ふなぐち菊水一番しぼり」を飲みたいね、ママ。 からくちママ:そりゃあもう、きっと美味しいことでしょうねぇ。 ふなぐちくん:星空の下で、本物の虫の声を聞きながら、ね。   終わり 文/渡辺 高 イラスト/かとうとおる