菊水通信

2021年01月08日

|日文研eye|もうヒトツの菊水 皇室下賜品 御酒頂戴と恩賜煙草 

カルチャー

新年のTVニュースの定番といえば皇室の新年一般参賀の様子でしょうか。毎年1月2日、皇居において天皇皇后両陛下が国民から祝賀をお受けになる新年一般参賀、令和2年は68,710もの人が祝賀に参加したとのことですが、令和3年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、一般参賀は行わないこととなりました。また皇居などで除草,清掃,庭園作業などを行うボランティアである皇居勤労奉仕も人数が制限されているようです。コロナはこんな所にも影響が出るのですね。 さて、皇室や宮家に対して功績があった場合や、皇室のためにお勤め(上記の勤労奉仕など)をしたときに賜る品を「皇室下賜品」といいます。 皇室下賜品にはボンボニエール(砂糖菓子ボンボンを入れる小さな菓子器。日本では皇室の慶事の際に配られます)をはじめシガレットケース、花瓶、杯、懐中時計など様々な種類があります。 国内外向け問わず皇室のお気持ちを表される下賜品ですから、国内の名工の手によるものが多く、日本の伝統技術や国内産業を保護し育成する役割も持つといえるでしょう。下賜品には皇室を象徴する16枚の花弁の「菊の紋」が刻印されており大変貴重です。 現在はご下賜品を賜るという機会は少なくなりましたが、戦前までは様々な品物が下賜されていたのです。 遡ること150余年、明治元(慶応四、1868)年7月17日に江戸が東京と改められ、8月17日には幸橋御門内の元大和郡山藩柳沢家上屋敷が東京府庁となり、9月8日には明治と改元されました。 そして天皇東幸。京都御所を出発した明治天皇一行(その行列3300人余り!)が10月13日に江戸城西丸にお着きになられたのが10月13日です。 東京府に対して「今般御東輦に付東京市中一同ヘ御酒下賜候間夫々分配可取計候事」の御沙汰書が達せられました。天皇の御東幸を祝して「天盃下賜」つまりお酒が下賜されたのです。 11月4日、市中の名主たちが府庁に集められ下賜酒が配られたそうです。御酒のほか鯣(するめ)一連、土器(かわらけ)一片に木台をそえ、名主一人に酒入り瓶子(へいし)一対ずつが添えられたとの記録もあります。 当日は早朝から「天酒頂戴」「天賜盃」「天之美禄」「御神酒頂戴」などと大書した幟を先頭に府庁に出頭し、帰りは揃いの鉢巻きと法被の鳶衆が鉦や太鼓を打ち鳴らし、下賜酒を積んだ車が大勢の男女に引かれて町内に帰っていったそうです。 11月6、7両日には東京市民は家業を休み、注連縄を張り紅白の幕を引き回し、葉付きの竹で不浄を祓い、鏡餅など供物を献げて頂戴した「天酒」を飾り、踊り屋台や花車を出し、さらに揃いの衣装に花笠をつけ練り歩くなど、まるで祭礼のような盛り上がりをみせたといわれます。「公方様のお膝元の江戸」から「天朝様のお膝元の東京」へとガラリと変身した、その立役者が下賜品の天酒つまり日本酒だったと思うのは、酒蔵勤務の贔屓目でしょうか。 この天盃頂戴の様子は浮世絵にも描かれており、日文研では歌川広重が描いた錦絵大判三枚綴 「東京幸橋御門内の図」を収蔵しています。     大きな幟に色とりどりの飾り物、鉦や太鼓のお囃子に多くの酒樽、何より人々の狂喜乱舞する様子がイキイキと描かれた、こちらまで楽しくなってしまう様な作品です。広重が描く嬉しさ満開の人々のパワーに押され、この資料をもとに帆前掛け「御酒頂戴」を作成しました。「御酒頂戴」と白抜きの幟を中心に、喜ぶ人々とその酒樽を意匠にあしらい、丁度良い長さのカフェエプロンサイズとしました。     ポットを2つ付け、そのうち1つはファスナー付きです。歴史ある錦絵に基づきながらもオシャレなデザイン尚且つ使い勝手よし!手前味噌ながらお薦めの一品です。 菊水日本酒文化研究所所蔵の錦絵「東京幸橋御門内の図」をデザイン化した菊水オリジナルの前掛け。 【菊水オリジナル】 前掛け(東京幸橋御門内の図) ¥2,915(税込) https://www.kikusui-sake.shop/c/shuki/kayoibukuro/21776   話を下賜品に戻しましょう。現在最も身近な皇室下賜品は、皇居勤労奉仕に参加したときに賜ることができる「和菓子」です。また現在では健康増進法の制定などで廃止されましたが、「恩賜煙草」も比較的よく知られた下賜品ではないでしょうか。 日文研ではこの「恩賜煙草」を資料として収蔵しています。 白い箱には黒で「賜」の文字が箔押しされており、煙草1本ずつに皇室を表す菊花紋章が入っています。市販はされておらず、叙勲者や園遊会出席者、宮内庁奉仕団、皇室関連ボランティア活動などへの謝礼品として下賜されていました。 1959(昭和34)年に天覧試合として後楽園球場で開催されたプロ野球試合の選手にも配られたそうですよ。 少し調べてみるだけでも、伝統工芸職工技術の保護育成として、また国民へのお心遣いとして、下賜品には多くの種類があり、またそれぞれに託された役割があること、そして時代の世相がそれぞれに表れていることが分かりました。あらためて日本の歴史文化を知る面白さを実感した次第です。 現在「恩賜煙草」は展示しておりませんが、錦絵大判三枚綴 「東京幸橋御門内の図」は複製を常設展示しています。十分に感染症予防も行いつつ、息抜きのおでかけに菊水日本酒文化研究所のご見学にいらっしゃいませんか?   菊水日本酒文化研究所 ▼ご見学申し込みはこちら https://www.kikusui-sake.com/home/jp/labo/ *注:特定の思想・主義・政治的立場などによる記事ではない旨ご理解をお願い致します。 <参考文献> 「日本の酒5000年」加藤百一著 技報堂出版 「たばこと共に七十余年」日本専売公社東京工場 宮内庁ホームページ https://www.kunaicho.go.jp/ 東京街人https://guidetokyo.info/ 内 滝口正哉著 *帆前掛け「御酒頂戴」は昔ながらの染め方のため染色助剤(色止剤)の匂いが残る場合がありますが、洗濯により軽減されます。また移染しやすいので他の物と分けて洗う等ご注意ください。

2021年01月08日

にごり湯&にごり酒で、ひなびた温泉宿の気分に浸る

カルチャー

雪化粧した山の懐に抱かれるようにして佇む、ひなびた温泉宿ほど旅情をそそるものはない。あたりには白い湯煙が立ち昇り、かすかに硫黄の匂いが漂ってくる。乳白色のにごり湯の、体にやわらかいこと。露天風呂に浸かりながら、冬枯れの木々と雪が織りなす美しい景色を眺めていよう。   わが家の小さな浴室の中で、そんな妄想をしている。冬本番。この季節のいちばんの贅沢は、やはり温泉だ。しかしなかなか旅行にも行きづらい時分でもあるので、どうしたものかと思案してたら、ラジオからおもしろいニュースが流れてきた。   入浴剤が、めっちゃ売れてるというのだ!   わかるわかる、それ! 行きたくても、温泉、行けないもんね。だからせめて、居ながらにして温泉気分を楽しもうということだ! ユニットバスを岩風呂に改造するのはムリだけど、ドラッグストアで買ってきた「温泉の素」を投入して目をつぶれば、昔懐かしい風情のある秘湯の景色だって思い浮かべられる。   あ〜いい湯だったな。と風呂から上がると、まもなく食事の時間だ。温泉宿の夕食といったら、欠かせないのが日本酒。しかし今どき流行りの華やかですっきりキレイな日本酒では、ちょっと情緒がなさすぎないか。ここはもうちょっと昔造りな酒がいい。ということで、菊水の『にごり酒 五郎八』を冷蔵庫で冷やしておいた。   『五郎八』は「ごろはち」と読む。越後に伝わる民話に登場する山賊の頭領の名前なんだそうだ。どんな話なのかネットでは見つけられなかったけど、名前からすると、豪快で、そのくせ心やさしい山賊って感じかな? 悪徳なヤツらからは身ぐるみ剥いでも、決して庶民を襲うことはなかった、というような。 『五六八』とも書けるので、これを「イロハ」と読んだり、数字を足すと『おいちょかぶ』の強い役になるので縁起がいいとか、造り手が意図しなかった評判もあるようだ。   にごり酒というように、酒質は透明ではなく白く濁っていて、まったりとしている。濁りの成分は滓(おり)と呼ばれるものだ。滓とは何か、なぜ濁っているのか、日本酒の製造工程から見ていこう。   基本原料は、米と米麹と水。酵母によってアルコール発酵が進むと、ドロドロのもろみができあがる。酒の液体だけでなく、原料の粒つぶや分解物、酵母などの固形物が含まれているからだ。これを液体と固形物に分けるために、上槽という作業を行う。もろみを目の細かい布袋などに入れて搾って濾すのだ。 こうしてはじめて日本酒は透明に近い液体になり、これが正式名称『清酒』のゆえんである。酒税法では、濾すことが清酒の定義。袋に残った固形物は酒粕だ。   この清酒に対して『濁酒』、つまり濾してない酒もあって、『ドブロク』と呼ばれている。酒税法上は『その他の醸造酒』という区分だ。白くドロドロで、もろみの風味そのまま、甘みが強く、少し酸っぱい。   ドブロクは弥生時代から造られていたとされるが、濾す技術は奈良時代すでに存在したようだ。書物や木簡に「清酒(すみさけ)」の文字が発見されている。とはいっても清酒を造るには高度な技術を要し、高価だったので、飲めたのは武将や富豪など特権階級だけ。一般庶民が親しんだのは民間・自家醸造されたドブロクで、その手づくり感のある素朴な味わいこそが、まさに庶民の酒だったのである。   しかし明治時代になると、酒税法によって酒を造るには酒造免許が必要になった。民間のドブロク造りは禁止されたわけだ。それでも昔ながらのドブロクが飲みたいという声は強く、近年「ドブロク特区」として規制緩和された。特区内で自家産米で仕込み、自ら経営する民宿などで提供するためならドブロクが造れるようになったのだ。   では『にごり酒 五郎八』はドブロクかというと、そうではない。菊水独自の製法によって生まれた白濁酒であって、ドブロクではないけれど、その風味は一般的な清酒よりもずっとドブロクに近く、滋味深い。手づくりの温かさみたいなものが感じられ、なんだか気持ちがほっこりする味わいだ。     風呂上がり。冷蔵庫から『五郎八』を取り出した。キャップを開ける前に瓶をやさしく揺すって、下の方に溜まっていた滓を均一にする。そして、大きめのぐい呑みに注ぐと、土の塊のようなゴツゴツした酒器から、もろみの甘酸っぱい香りが立ち昇ってきた。   口に含むと、まったりと甘いのに、みずみずしい爽やかさもある。これは『五郎八』が、搾ってから一度も火入れをしていない生の酒だから。できたてのフレッシュ感があるのだ。 そのうえ水も一切加えてないので、アルコール度数は日本酒としてはかなり高い21度。口あたりがいいからスイスイ飲めてしまうが、そこは自制せねば。     『五郎八』には、旬の食材を使った鍋料理や濃いめの味付けの料理が合う。この日のメインは、脂ののった寒ブリの粗塩焼き。甘さと塩っぱさが互いの旨さを引き立て合う。辛口の酒が料理を引き立てるのとは違って、完全な相乗効果だ。旨みが濃厚なので、食事が済んだあともアテなしでイケルイケル。にごり湯&にごり酒で、体も心もポカポカ。おウチ温泉の夜は、静かに静かにふけていったのだった。   にごり酒『五郎八』商品情報     <参考文献> 酒に謎あり 著/小泉武夫 発行/日経ビジネス文庫 日本酒の科学 著/和田美代子 監修/高橋俊成 発行/講談社 情報誌 お酒のはなし 著・発行/酒類総合研究所 新潟清酒ものしりブック 監修/新潟清酒達人検定協会 発行/新潟日報事業者  

2021年01月07日

カラダの中から健やかに。日本人なら知っておきたい「発酵食のキホン」 〜vol.1 発酵ヂカラで免疫力アップ!〜

健康

<あま酒&発酵生活>   体の内側からキレイになる -レシピ付き-   最近つとによく耳にする“発酵食”。いざどんなものがそれに該当するの? と考えると、なにやら難しそうにも聞こえますが、私たち日本人が普段から食べているものには、発酵食品がいっぱい! たとえば、お味噌汁に使う味噌や、出汁をとるときの鰹節、調味料の醤油、納豆やお漬物なども発酵食。そう、じつは、日本は発酵王国と言われるほどの発酵先進国。しかも発酵食は、美味しくって栄養豊富、さらには腸内環境を整え免疫力を高める、ヘルシーライフをサポートするスゴい食べ物なんです。こんなうれしい魅力満載の発酵食は、日々の食事にどんどん取り入れたいもの。早速、おすすめのレシピをご紹介します。         <鶏肉のあったかグラタン>     (材料)  1人前 ・鶏むね肉……1枚(モモでもOK) ・スーパー酒粕 さかすけ……1/2カップ ・味噌……大さじ1 1/3 ・溶けるチーズ……適量 ・塩……少々 ・サラダ油……適量   (作り方) 1.鶏肉はひと口大に切り、塩少々をふる。 2.フライパンに油を入れて中火にかけ、鶏肉に火が通るまで焼く。 3.耐熱容器を用意する。内側に油を塗り、2の鶏肉を入れる。 4.ボウルに「スーパー酒粕 さかすけ」と味噌を入れてよく混ぜ合わせ、3にまんべんなくかける。 上からチーズを散らしてトースターでチーズが溶けるまで焼く。     味噌とチーズのコク旨な味がしっかり染み込んだ鶏肉は、「スーパー酒粕 さかすけ」の乳酸菌や麹効果もあり、パサパサにならずしっとり。香ばしく焼けば、お酒にもよく合う味わいになります。これに合わせるなら、「菊水の純米酒」がおすすめ。ひやでも、冬の寒い時などは特に、お燗にして合わせてもぴったりです。味噌や、酒粕ベースの「スーパー酒粕 さかすけ」が日本酒に合うのは言わずもがなですが、チーズとの相性も抜群なんですよ。   「鶏肉のあったかグラタン」で使う発酵食品は、味噌、チーズ、そして菊水の「スーパー酒粕 さかすけ」。大豆に米や麦などの麹を加えて発酵・熟成させて作る〈味噌〉は、日本人にとってなくてはならない、身近な調味料。血圧上昇の原因となる酵素を阻止する成分や、含まれる脂溶性物質には免疫力を高める効果もあります。〈チーズ〉は、加熱せず乳酸菌や酵素などの活性を残したナチュラルチーズと、ナチュラルチーズを加熱して発酵を止め、味を整えて加工したプロセスチーズとありますが、いずれも代表的な発酵乳製品。タンパク質や各種ビタミン、カルシウムなどの豊富な栄養が凝縮しています。そして菊水の「スーパー酒粕 さかすけ」は、清酒の製造工程から生まれた醗酵食品〈酒粕〉を乳酸菌で醗酵させた、ダブル醗酵食品です。酒粕がヨーグルト化したような味わいとテクスチャーで、酒粕よりアップした栄養と機能性成分を持つ、未知の可能性を持つスーパー酒粕なんです。これら3種の発酵食品を使った、“トリプル発酵”グラタンで、免疫力のアップ、そして旨味もアップの美味しい生活、送りましょ。       「スーパー酒粕 さかすけ」を鶏肉に混ぜてから焼けば、しっとり仕上げに。また焼きあがりにトッピングというのもアリ! 「スーパー酒粕 さかすけ」は塩分ゼロなので、塩分そのままに旨味をアップできます。     『スーパー酒粕 さかすけ』商品情報 https://www.kikusui-sake.com/amazake-plus/   フードコーディネート/タカハシユキ 撮影/中原一隆 文/中川節子

2021年01月07日

つぶやきレシピ |日々のささやかな“つぶやき”が、極上のつまみに変身

フード

日常に起こる、ほんのささいな出来ごと。ちょっぴりうれしかったことや、思わずクスッとしてしまったこと、はたまたついボヤきたくなるようなプチ残念なことなどなど……。 そんなとき、思わず口に出してつぶやいてしまうひと言が、今宵の〈つまみ〉に変身したら、なんだか楽しい。さらには、相性抜群のお酒とともに味わえば、明日もきっといい日!           Vol.5  「コートのポケットに、1000円札発見!」 冬のファッションの楽しみは、あれこれコートを替えること。キレイめからカジュアル系、ハーフやショートと、さまざまに気分を変えられるから、それだけでアガる〜。そしていま、ちょっとコンビニに行こうと羽織ったコートのポケットに、なんと1000円札を発見! うわぉ、最高! なんだか妙に得した気分だから、これで普段はなかなか買わない高級ポテチでも買って、超簡単おつまみつーくろっと。     「高級ポテチとトマトのトマト和え」 (材料)1〜2人分  ・完熟トマト……1個  ・トマトケチャップ……3回し  ・ホットペッパーソース……適量  ・高級ポテチ……1袋   (作り方)  1.トマトのヘタを落とし、横半分に切る。種をスプーンで除いてざく切りにする。 2.1のトマトをボウルに入れて、トマトケチャップを回しかける。 ホットペッパーソースも好みの量をかけて混ぜ合わせる。  3.2を器に盛り、ポテチにつけながらいただく。     ◎合わせたいお酒/「無冠帝」(吟醸酒)   もちろんそのまま食べても美味しいポテチですが、厚みもあってじゃがいもの味わいもしっかり感じられる“高級”モノなら、ディップソースにつけながら食べてもヘタれないし、美味しさも倍増。そしてこの「トマトのトマト和え」は、フレッシュトマトのみずみずしさと、トマトケチャップの甘酸っぱさを合わせた誰もが好む味わい。そこへホットペッパーソースを加えれば、スパイシーでリッチな風味がプラスされ、グンとお酒を呼ぶ味わいに。合わせたいのは、さらりとした口当たりとキレのよさが秀逸な菊水の吟醸酒「無冠帝」。1000円札発見のラッキー×高級ポテチの上昇気分を、さらに上向きにしてくれることうけあいです。 子供のおやつにする場合は、ホットペッパーソースをナシにしてもOKです。   フードコーディネート/タカハシユキ 撮影/中原一隆 文/中川節子

2020年11月09日

つぶやきレシピ |日々のささやかな“つぶやき”が、極上のつまみに変身

レシピ

日常に起こる、ほんのささいな出来ごと。ちょっぴりうれしかったことや、思わずクスッとしてしまったこと、はたまたついボヤきたくなるようなプチ残念なことなどなど……。 そんなとき、思わず口に出してつぶやいてしまうひと言が、今宵の〈つまみ〉に変身したら、なんだか楽しい。さらには、相性抜群のお酒とともに味わえば、明日もきっといい日!           Vol.4  「卵を割ったら双子だった!」 パカッ! の瞬間、思わず前のめり。なんと、黄身が双子だった〜‼︎ ありそうでなかなかないこのプチ・ミラクル、なんだか崩すのがもったいない……。そうだ、今日はこのラッキー卵をそのまま目玉焼きにして、ウチにある残り物食材で、みんな大好き味のひと皿を作ることに。大人はこれをつまみに一杯、子供はおやつやお弁当のおかずにもぴったり。見た目もなんだかハッピーなメニューの出来上がりです。     「じゃがいもとソーセージのカリカリ  双子の目玉焼きのせ」 (材料)2人分  ・じゃがいも……1個  ・ソーセージ……90g  ・玉ねぎ……1/2個  ・卵……1個  ・オリーブ油……大さじ1  ・バター……大さじ1 ・塩、胡椒……各少々  ・パセリのみじん切り……適量   (作り方)  1.じゃがいもは皮をむき1cm角に切って水にさらす。 ソーセージは1cm幅のぶつ切りに。玉ねぎは1cm角に切る。 2.フライパンに半量のバターとオリーブ油を入れて中火で熱し、 バターが溶けてきたらしっかりと水気を切ったじゃがいもを入れ、炒める。 全体がきつね色になるまでしっかりと炒めるのがポイント。 表面がカリカリになってきたら取り出す。  3.同じフライパンに残りのバターとオリーブ油を足し、強めの中火で玉ねぎを炒める。 透明になってきたらソーセージを加え炒め合わせる。 ソーセージに火が通ってきたらじゃがいもを戻し入れ、塩、胡椒で味を調え器に盛る。 4.フライパンにオリーブ油(分量外)を少量入れて目玉焼きを作り、塩、胡椒をふって3.にのせる。 上からパセリを散らす。     ◎合わせたいお酒/「菊水の純米酒」   冷蔵庫や野菜ストックにいつもありそうな材料で作れるこのメニューは、スェーデンの家庭料理「ピットイパンナ」からヒントを得たもの。目玉焼きは半熟気味に仕上げて、食べる際、黄身をとろりと割りほぐしながら混ぜて食べます。じゃがいもや卵のほっこり&こっくりした味わいには、お燗酒が相性も良くおすすめ。「菊水の純米酒」ならコクが強調され、ふくよかな旨味が広がります。燗上がりするお酒と合わせれば、気分も上々です。 そしてもちろん卵が双子でなくとも、普通の目玉焼きで十分美味しくいただけます。   フードコーディネート/タカハシユキ 撮影/中原一隆 文/中川節子

2021年01月08日

|日文研eye|もうヒトツの菊水 皇室下賜品 御酒頂戴と恩賜煙草 

カルチャー

新年のTVニュースの定番といえば皇室の新年一般参賀の様子でしょうか。毎年1月2日、皇居において天皇皇后両陛下が国民から祝賀をお受けになる新年一般参賀、令和2年は68,710もの人が祝賀に参加したとのことですが、令和3年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、一般参賀は行わないこととなりました。また皇居などで除草,清掃,庭園作業などを行うボランティアである皇居勤労奉仕も人数が制限されているようです。コロナはこんな所にも影響が出るのですね。 さて、皇室や宮家に対して功績があった場合や、皇室のためにお勤め(上記の勤労奉仕など)をしたときに賜る品を「皇室下賜品」といいます。 皇室下賜品にはボンボニエール(砂糖菓子ボンボンを入れる小さな菓子器。日本では皇室の慶事の際に配られます)をはじめシガレットケース、花瓶、杯、懐中時計など様々な種類があります。 国内外向け問わず皇室のお気持ちを表される下賜品ですから、国内の名工の手によるものが多く、日本の伝統技術や国内産業を保護し育成する役割も持つといえるでしょう。下賜品には皇室を象徴する16枚の花弁の「菊の紋」が刻印されており大変貴重です。 現在はご下賜品を賜るという機会は少なくなりましたが、戦前までは様々な品物が下賜されていたのです。 遡ること150余年、明治元(慶応四、1868)年7月17日に江戸が東京と改められ、8月17日には幸橋御門内の元大和郡山藩柳沢家上屋敷が東京府庁となり、9月8日には明治と改元されました。 そして天皇東幸。京都御所を出発した明治天皇一行(その行列3300人余り!)が10月13日に江戸城西丸にお着きになられたのが10月13日です。 東京府に対して「今般御東輦に付東京市中一同ヘ御酒下賜候間夫々分配可取計候事」の御沙汰書が達せられました。天皇の御東幸を祝して「天盃下賜」つまりお酒が下賜されたのです。 11月4日、市中の名主たちが府庁に集められ下賜酒が配られたそうです。御酒のほか鯣(するめ)一連、土器(かわらけ)一片に木台をそえ、名主一人に酒入り瓶子(へいし)一対ずつが添えられたとの記録もあります。 当日は早朝から「天酒頂戴」「天賜盃」「天之美禄」「御神酒頂戴」などと大書した幟を先頭に府庁に出頭し、帰りは揃いの鉢巻きと法被の鳶衆が鉦や太鼓を打ち鳴らし、下賜酒を積んだ車が大勢の男女に引かれて町内に帰っていったそうです。 11月6、7両日には東京市民は家業を休み、注連縄を張り紅白の幕を引き回し、葉付きの竹で不浄を祓い、鏡餅など供物を献げて頂戴した「天酒」を飾り、踊り屋台や花車を出し、さらに揃いの衣装に花笠をつけ練り歩くなど、まるで祭礼のような盛り上がりをみせたといわれます。「公方様のお膝元の江戸」から「天朝様のお膝元の東京」へとガラリと変身した、その立役者が下賜品の天酒つまり日本酒だったと思うのは、酒蔵勤務の贔屓目でしょうか。 この天盃頂戴の様子は浮世絵にも描かれており、日文研では歌川広重が描いた錦絵大判三枚綴 「東京幸橋御門内の図」を収蔵しています。     大きな幟に色とりどりの飾り物、鉦や太鼓のお囃子に多くの酒樽、何より人々の狂喜乱舞する様子がイキイキと描かれた、こちらまで楽しくなってしまう様な作品です。広重が描く嬉しさ満開の人々のパワーに押され、この資料をもとに帆前掛け「御酒頂戴」を作成しました。「御酒頂戴」と白抜きの幟を中心に、喜ぶ人々とその酒樽を意匠にあしらい、丁度良い長さのカフェエプロンサイズとしました。     ポットを2つ付け、そのうち1つはファスナー付きです。歴史ある錦絵に基づきながらもオシャレなデザイン尚且つ使い勝手よし!手前味噌ながらお薦めの一品です。 菊水日本酒文化研究所所蔵の錦絵「東京幸橋御門内の図」をデザイン化した菊水オリジナルの前掛け。 【菊水オリジナル】 前掛け(東京幸橋御門内の図) ¥2,915(税込) https://www.kikusui-sake.shop/c/shuki/kayoibukuro/21776   話を下賜品に戻しましょう。現在最も身近な皇室下賜品は、皇居勤労奉仕に参加したときに賜ることができる「和菓子」です。また現在では健康増進法の制定などで廃止されましたが、「恩賜煙草」も比較的よく知られた下賜品ではないでしょうか。 日文研ではこの「恩賜煙草」を資料として収蔵しています。 白い箱には黒で「賜」の文字が箔押しされており、煙草1本ずつに皇室を表す菊花紋章が入っています。市販はされておらず、叙勲者や園遊会出席者、宮内庁奉仕団、皇室関連ボランティア活動などへの謝礼品として下賜されていました。 1959(昭和34)年に天覧試合として後楽園球場で開催されたプロ野球試合の選手にも配られたそうですよ。 少し調べてみるだけでも、伝統工芸職工技術の保護育成として、また国民へのお心遣いとして、下賜品には多くの種類があり、またそれぞれに託された役割があること、そして時代の世相がそれぞれに表れていることが分かりました。あらためて日本の歴史文化を知る面白さを実感した次第です。 現在「恩賜煙草」は展示しておりませんが、錦絵大判三枚綴 「東京幸橋御門内の図」は複製を常設展示しています。十分に感染症予防も行いつつ、息抜きのおでかけに菊水日本酒文化研究所のご見学にいらっしゃいませんか?   菊水日本酒文化研究所 ▼ご見学申し込みはこちら https://www.kikusui-sake.com/home/jp/labo/ *注:特定の思想・主義・政治的立場などによる記事ではない旨ご理解をお願い致します。 <参考文献> 「日本の酒5000年」加藤百一著 技報堂出版 「たばこと共に七十余年」日本専売公社東京工場 宮内庁ホームページ https://www.kunaicho.go.jp/ 東京街人https://guidetokyo.info/ 内 滝口正哉著 *帆前掛け「御酒頂戴」は昔ながらの染め方のため染色助剤(色止剤)の匂いが残る場合がありますが、洗濯により軽減されます。また移染しやすいので他の物と分けて洗う等ご注意ください。

2021年01月08日

にごり湯&にごり酒で、ひなびた温泉宿の気分に浸る

カルチャー

雪化粧した山の懐に抱かれるようにして佇む、ひなびた温泉宿ほど旅情をそそるものはない。あたりには白い湯煙が立ち昇り、かすかに硫黄の匂いが漂ってくる。乳白色のにごり湯の、体にやわらかいこと。露天風呂に浸かりながら、冬枯れの木々と雪が織りなす美しい景色を眺めていよう。   わが家の小さな浴室の中で、そんな妄想をしている。冬本番。この季節のいちばんの贅沢は、やはり温泉だ。しかしなかなか旅行にも行きづらい時分でもあるので、どうしたものかと思案してたら、ラジオからおもしろいニュースが流れてきた。   入浴剤が、めっちゃ売れてるというのだ!   わかるわかる、それ! 行きたくても、温泉、行けないもんね。だからせめて、居ながらにして温泉気分を楽しもうということだ! ユニットバスを岩風呂に改造するのはムリだけど、ドラッグストアで買ってきた「温泉の素」を投入して目をつぶれば、昔懐かしい風情のある秘湯の景色だって思い浮かべられる。   あ〜いい湯だったな。と風呂から上がると、まもなく食事の時間だ。温泉宿の夕食といったら、欠かせないのが日本酒。しかし今どき流行りの華やかですっきりキレイな日本酒では、ちょっと情緒がなさすぎないか。ここはもうちょっと昔造りな酒がいい。ということで、菊水の『にごり酒 五郎八』を冷蔵庫で冷やしておいた。   『五郎八』は「ごろはち」と読む。越後に伝わる民話に登場する山賊の頭領の名前なんだそうだ。どんな話なのかネットでは見つけられなかったけど、名前からすると、豪快で、そのくせ心やさしい山賊って感じかな? 悪徳なヤツらからは身ぐるみ剥いでも、決して庶民を襲うことはなかった、というような。 『五六八』とも書けるので、これを「イロハ」と読んだり、数字を足すと『おいちょかぶ』の強い役になるので縁起がいいとか、造り手が意図しなかった評判もあるようだ。   にごり酒というように、酒質は透明ではなく白く濁っていて、まったりとしている。濁りの成分は滓(おり)と呼ばれるものだ。滓とは何か、なぜ濁っているのか、日本酒の製造工程から見ていこう。   基本原料は、米と米麹と水。酵母によってアルコール発酵が進むと、ドロドロのもろみができあがる。酒の液体だけでなく、原料の粒つぶや分解物、酵母などの固形物が含まれているからだ。これを液体と固形物に分けるために、上槽という作業を行う。もろみを目の細かい布袋などに入れて搾って濾すのだ。 こうしてはじめて日本酒は透明に近い液体になり、これが正式名称『清酒』のゆえんである。酒税法では、濾すことが清酒の定義。袋に残った固形物は酒粕だ。   この清酒に対して『濁酒』、つまり濾してない酒もあって、『ドブロク』と呼ばれている。酒税法上は『その他の醸造酒』という区分だ。白くドロドロで、もろみの風味そのまま、甘みが強く、少し酸っぱい。   ドブロクは弥生時代から造られていたとされるが、濾す技術は奈良時代すでに存在したようだ。書物や木簡に「清酒(すみさけ)」の文字が発見されている。とはいっても清酒を造るには高度な技術を要し、高価だったので、飲めたのは武将や富豪など特権階級だけ。一般庶民が親しんだのは民間・自家醸造されたドブロクで、その手づくり感のある素朴な味わいこそが、まさに庶民の酒だったのである。   しかし明治時代になると、酒税法によって酒を造るには酒造免許が必要になった。民間のドブロク造りは禁止されたわけだ。それでも昔ながらのドブロクが飲みたいという声は強く、近年「ドブロク特区」として規制緩和された。特区内で自家産米で仕込み、自ら経営する民宿などで提供するためならドブロクが造れるようになったのだ。   では『にごり酒 五郎八』はドブロクかというと、そうではない。菊水独自の製法によって生まれた白濁酒であって、ドブロクではないけれど、その風味は一般的な清酒よりもずっとドブロクに近く、滋味深い。手づくりの温かさみたいなものが感じられ、なんだか気持ちがほっこりする味わいだ。     風呂上がり。冷蔵庫から『五郎八』を取り出した。キャップを開ける前に瓶をやさしく揺すって、下の方に溜まっていた滓を均一にする。そして、大きめのぐい呑みに注ぐと、土の塊のようなゴツゴツした酒器から、もろみの甘酸っぱい香りが立ち昇ってきた。   口に含むと、まったりと甘いのに、みずみずしい爽やかさもある。これは『五郎八』が、搾ってから一度も火入れをしていない生の酒だから。できたてのフレッシュ感があるのだ。 そのうえ水も一切加えてないので、アルコール度数は日本酒としてはかなり高い21度。口あたりがいいからスイスイ飲めてしまうが、そこは自制せねば。     『五郎八』には、旬の食材を使った鍋料理や濃いめの味付けの料理が合う。この日のメインは、脂ののった寒ブリの粗塩焼き。甘さと塩っぱさが互いの旨さを引き立て合う。辛口の酒が料理を引き立てるのとは違って、完全な相乗効果だ。旨みが濃厚なので、食事が済んだあともアテなしでイケルイケル。にごり湯&にごり酒で、体も心もポカポカ。おウチ温泉の夜は、静かに静かにふけていったのだった。   にごり酒『五郎八』商品情報     <参考文献> 酒に謎あり 著/小泉武夫 発行/日経ビジネス文庫 日本酒の科学 著/和田美代子 監修/高橋俊成 発行/講談社 情報誌 お酒のはなし 著・発行/酒類総合研究所 新潟清酒ものしりブック 監修/新潟清酒達人検定協会 発行/新潟日報事業者  

2021年01月07日

カラダの中から健やかに。日本人なら知っておきたい「発酵食のキホン」 〜vol.1 発酵ヂカラで免疫力アップ!〜

健康

<あま酒&発酵生活>   体の内側からキレイになる -レシピ付き-   最近つとによく耳にする“発酵食”。いざどんなものがそれに該当するの? と考えると、なにやら難しそうにも聞こえますが、私たち日本人が普段から食べているものには、発酵食品がいっぱい! たとえば、お味噌汁に使う味噌や、出汁をとるときの鰹節、調味料の醤油、納豆やお漬物なども発酵食。そう、じつは、日本は発酵王国と言われるほどの発酵先進国。しかも発酵食は、美味しくって栄養豊富、さらには腸内環境を整え免疫力を高める、ヘルシーライフをサポートするスゴい食べ物なんです。こんなうれしい魅力満載の発酵食は、日々の食事にどんどん取り入れたいもの。早速、おすすめのレシピをご紹介します。         <鶏肉のあったかグラタン>     (材料)  1人前 ・鶏むね肉……1枚(モモでもOK) ・スーパー酒粕 さかすけ……1/2カップ ・味噌……大さじ1 1/3 ・溶けるチーズ……適量 ・塩……少々 ・サラダ油……適量   (作り方) 1.鶏肉はひと口大に切り、塩少々をふる。 2.フライパンに油を入れて中火にかけ、鶏肉に火が通るまで焼く。 3.耐熱容器を用意する。内側に油を塗り、2の鶏肉を入れる。 4.ボウルに「スーパー酒粕 さかすけ」と味噌を入れてよく混ぜ合わせ、3にまんべんなくかける。 上からチーズを散らしてトースターでチーズが溶けるまで焼く。     味噌とチーズのコク旨な味がしっかり染み込んだ鶏肉は、「スーパー酒粕 さかすけ」の乳酸菌や麹効果もあり、パサパサにならずしっとり。香ばしく焼けば、お酒にもよく合う味わいになります。これに合わせるなら、「菊水の純米酒」がおすすめ。ひやでも、冬の寒い時などは特に、お燗にして合わせてもぴったりです。味噌や、酒粕ベースの「スーパー酒粕 さかすけ」が日本酒に合うのは言わずもがなですが、チーズとの相性も抜群なんですよ。   「鶏肉のあったかグラタン」で使う発酵食品は、味噌、チーズ、そして菊水の「スーパー酒粕 さかすけ」。大豆に米や麦などの麹を加えて発酵・熟成させて作る〈味噌〉は、日本人にとってなくてはならない、身近な調味料。血圧上昇の原因となる酵素を阻止する成分や、含まれる脂溶性物質には免疫力を高める効果もあります。〈チーズ〉は、加熱せず乳酸菌や酵素などの活性を残したナチュラルチーズと、ナチュラルチーズを加熱して発酵を止め、味を整えて加工したプロセスチーズとありますが、いずれも代表的な発酵乳製品。タンパク質や各種ビタミン、カルシウムなどの豊富な栄養が凝縮しています。そして菊水の「スーパー酒粕 さかすけ」は、清酒の製造工程から生まれた醗酵食品〈酒粕〉を乳酸菌で醗酵させた、ダブル醗酵食品です。酒粕がヨーグルト化したような味わいとテクスチャーで、酒粕よりアップした栄養と機能性成分を持つ、未知の可能性を持つスーパー酒粕なんです。これら3種の発酵食品を使った、“トリプル発酵”グラタンで、免疫力のアップ、そして旨味もアップの美味しい生活、送りましょ。       「スーパー酒粕 さかすけ」を鶏肉に混ぜてから焼けば、しっとり仕上げに。また焼きあがりにトッピングというのもアリ! 「スーパー酒粕 さかすけ」は塩分ゼロなので、塩分そのままに旨味をアップできます。     『スーパー酒粕 さかすけ』商品情報 https://www.kikusui-sake.com/amazake-plus/   フードコーディネート/タカハシユキ 撮影/中原一隆 文/中川節子

2021年01月07日

つぶやきレシピ |日々のささやかな“つぶやき”が、極上のつまみに変身

フード

日常に起こる、ほんのささいな出来ごと。ちょっぴりうれしかったことや、思わずクスッとしてしまったこと、はたまたついボヤきたくなるようなプチ残念なことなどなど……。 そんなとき、思わず口に出してつぶやいてしまうひと言が、今宵の〈つまみ〉に変身したら、なんだか楽しい。さらには、相性抜群のお酒とともに味わえば、明日もきっといい日!           Vol.5  「コートのポケットに、1000円札発見!」 冬のファッションの楽しみは、あれこれコートを替えること。キレイめからカジュアル系、ハーフやショートと、さまざまに気分を変えられるから、それだけでアガる〜。そしていま、ちょっとコンビニに行こうと羽織ったコートのポケットに、なんと1000円札を発見! うわぉ、最高! なんだか妙に得した気分だから、これで普段はなかなか買わない高級ポテチでも買って、超簡単おつまみつーくろっと。     「高級ポテチとトマトのトマト和え」 (材料)1〜2人分  ・完熟トマト……1個  ・トマトケチャップ……3回し  ・ホットペッパーソース……適量  ・高級ポテチ……1袋   (作り方)  1.トマトのヘタを落とし、横半分に切る。種をスプーンで除いてざく切りにする。 2.1のトマトをボウルに入れて、トマトケチャップを回しかける。 ホットペッパーソースも好みの量をかけて混ぜ合わせる。  3.2を器に盛り、ポテチにつけながらいただく。     ◎合わせたいお酒/「無冠帝」(吟醸酒)   もちろんそのまま食べても美味しいポテチですが、厚みもあってじゃがいもの味わいもしっかり感じられる“高級”モノなら、ディップソースにつけながら食べてもヘタれないし、美味しさも倍増。そしてこの「トマトのトマト和え」は、フレッシュトマトのみずみずしさと、トマトケチャップの甘酸っぱさを合わせた誰もが好む味わい。そこへホットペッパーソースを加えれば、スパイシーでリッチな風味がプラスされ、グンとお酒を呼ぶ味わいに。合わせたいのは、さらりとした口当たりとキレのよさが秀逸な菊水の吟醸酒「無冠帝」。1000円札発見のラッキー×高級ポテチの上昇気分を、さらに上向きにしてくれることうけあいです。 子供のおやつにする場合は、ホットペッパーソースをナシにしてもOKです。   フードコーディネート/タカハシユキ 撮影/中原一隆 文/中川節子

2020年11月09日

つぶやきレシピ |日々のささやかな“つぶやき”が、極上のつまみに変身

レシピ

日常に起こる、ほんのささいな出来ごと。ちょっぴりうれしかったことや、思わずクスッとしてしまったこと、はたまたついボヤきたくなるようなプチ残念なことなどなど……。 そんなとき、思わず口に出してつぶやいてしまうひと言が、今宵の〈つまみ〉に変身したら、なんだか楽しい。さらには、相性抜群のお酒とともに味わえば、明日もきっといい日!           Vol.4  「卵を割ったら双子だった!」 パカッ! の瞬間、思わず前のめり。なんと、黄身が双子だった〜‼︎ ありそうでなかなかないこのプチ・ミラクル、なんだか崩すのがもったいない……。そうだ、今日はこのラッキー卵をそのまま目玉焼きにして、ウチにある残り物食材で、みんな大好き味のひと皿を作ることに。大人はこれをつまみに一杯、子供はおやつやお弁当のおかずにもぴったり。見た目もなんだかハッピーなメニューの出来上がりです。     「じゃがいもとソーセージのカリカリ  双子の目玉焼きのせ」 (材料)2人分  ・じゃがいも……1個  ・ソーセージ……90g  ・玉ねぎ……1/2個  ・卵……1個  ・オリーブ油……大さじ1  ・バター……大さじ1 ・塩、胡椒……各少々  ・パセリのみじん切り……適量   (作り方)  1.じゃがいもは皮をむき1cm角に切って水にさらす。 ソーセージは1cm幅のぶつ切りに。玉ねぎは1cm角に切る。 2.フライパンに半量のバターとオリーブ油を入れて中火で熱し、 バターが溶けてきたらしっかりと水気を切ったじゃがいもを入れ、炒める。 全体がきつね色になるまでしっかりと炒めるのがポイント。 表面がカリカリになってきたら取り出す。  3.同じフライパンに残りのバターとオリーブ油を足し、強めの中火で玉ねぎを炒める。 透明になってきたらソーセージを加え炒め合わせる。 ソーセージに火が通ってきたらじゃがいもを戻し入れ、塩、胡椒で味を調え器に盛る。 4.フライパンにオリーブ油(分量外)を少量入れて目玉焼きを作り、塩、胡椒をふって3.にのせる。 上からパセリを散らす。     ◎合わせたいお酒/「菊水の純米酒」   冷蔵庫や野菜ストックにいつもありそうな材料で作れるこのメニューは、スェーデンの家庭料理「ピットイパンナ」からヒントを得たもの。目玉焼きは半熟気味に仕上げて、食べる際、黄身をとろりと割りほぐしながら混ぜて食べます。じゃがいもや卵のほっこり&こっくりした味わいには、お燗酒が相性も良くおすすめ。「菊水の純米酒」ならコクが強調され、ふくよかな旨味が広がります。燗上がりするお酒と合わせれば、気分も上々です。 そしてもちろん卵が双子でなくとも、普通の目玉焼きで十分美味しくいただけます。   フードコーディネート/タカハシユキ 撮影/中原一隆 文/中川節子

2021年01月20日

二王子岳 日本二百名山の一座、農耕の神山

テロワール新発田だより

菊水の蔵をいつも大きく包んでくれている二王子岳(にのうじだけ)。 加治川と胎内川に挟まれ、南北20kmにわたって蒲原平野に臨む飯豊連峰前衛の巨峰です。 古くから農耕の神山として新発田市民に仰ぎ親しまれたこの二王子岳、山麓の二王子神社には大国主命・豊受姫大神・一言主命・熊野加布呂命が祀られており、境内案内板には「古来より農業生産所業の守護神、除災承服身体擁護の神として由緒深遠霊験あらたか」と記されています。北越後の肥沃な大地を潤す清冽な雪解け水を湛える加治川の流れを見れば、まさに二王子岳は農耕の神山に違いありません。 私達に多くの恵みをもたらしてくれるこの霊峰にあやかり、また感謝の意を込めて菊水の蔵は「二王子蔵」としています。 二王子蔵の仕込み室の大きな窓から二王子岳と山裾に広がる圃場の風景が一体で眺望できるようになっています。 蔵人は「この窓から見える風景によりこの山と大地の恵みを深く実感する」と、「あらためて感謝を以って酒を醸すことができる」と言い、まさにこれこそ菊水が一番大事にしている気持ちなのです。 この二王子岳、飯豊連峰の全容が美しく広がる山頂からの羨望も抜群で、交通も便もよく、毎年多くの登山者やスキー客で賑わいます。これからの季節には「二ノックススノーパーク」が人気です。 二王子岳の斜面を生かした様々なスキー・スノーボードのコースがあり、用具のレンタルやスクールなども揃っているそう。またこちらにはナイター営業もあるので仕事終わりにひと滑り!という菊水社員もいるのです。 自然の恵みをもたらしてくれ、祈りの対象であり、人々を遊ばせてもくれる。新発田に生きる私達にとって二王子岳はなくてはならない存在なのです。二王子岳に抱かれたこの地に、菊水は今までもこれからも根を張り、感謝を込めてこの大地の恵みを醸してまいります。 ◆ブック型「菊水通信」はこちら  

2021年01月08日

|日文研eye|もうヒトツの菊水 皇室下賜品 御酒頂戴と恩賜煙草 

カルチャー

新年のTVニュースの定番といえば皇室の新年一般参賀の様子でしょうか。毎年1月2日、皇居において天皇皇后両陛下が国民から祝賀をお受けになる新年一般参賀、令和2年は68,710もの人が祝賀に参加したとのことですが、令和3年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、一般参賀は行わないこととなりました。また皇居などで除草,清掃,庭園作業などを行うボランティアである皇居勤労奉仕も人数が制限されているようです。コロナはこんな所にも影響が出るのですね。 さて、皇室や宮家に対して功績があった場合や、皇室のためにお勤め(上記の勤労奉仕など)をしたときに賜る品を「皇室下賜品」といいます。 皇室下賜品にはボンボニエール(砂糖菓子ボンボンを入れる小さな菓子器。日本では皇室の慶事の際に配られます)をはじめシガレットケース、花瓶、杯、懐中時計など様々な種類があります。 国内外向け問わず皇室のお気持ちを表される下賜品ですから、国内の名工の手によるものが多く、日本の伝統技術や国内産業を保護し育成する役割も持つといえるでしょう。下賜品には皇室を象徴する16枚の花弁の「菊の紋」が刻印されており大変貴重です。 現在はご下賜品を賜るという機会は少なくなりましたが、戦前までは様々な品物が下賜されていたのです。 遡ること150余年、明治元(慶応四、1868)年7月17日に江戸が東京と改められ、8月17日には幸橋御門内の元大和郡山藩柳沢家上屋敷が東京府庁となり、9月8日には明治と改元されました。 そして天皇東幸。京都御所を出発した明治天皇一行(その行列3300人余り!)が10月13日に江戸城西丸にお着きになられたのが10月13日です。 東京府に対して「今般御東輦に付東京市中一同ヘ御酒下賜候間夫々分配可取計候事」の御沙汰書が達せられました。天皇の御東幸を祝して「天盃下賜」つまりお酒が下賜されたのです。 11月4日、市中の名主たちが府庁に集められ下賜酒が配られたそうです。御酒のほか鯣(するめ)一連、土器(かわらけ)一片に木台をそえ、名主一人に酒入り瓶子(へいし)一対ずつが添えられたとの記録もあります。 当日は早朝から「天酒頂戴」「天賜盃」「天之美禄」「御神酒頂戴」などと大書した幟を先頭に府庁に出頭し、帰りは揃いの鉢巻きと法被の鳶衆が鉦や太鼓を打ち鳴らし、下賜酒を積んだ車が大勢の男女に引かれて町内に帰っていったそうです。 11月6、7両日には東京市民は家業を休み、注連縄を張り紅白の幕を引き回し、葉付きの竹で不浄を祓い、鏡餅など供物を献げて頂戴した「天酒」を飾り、踊り屋台や花車を出し、さらに揃いの衣装に花笠をつけ練り歩くなど、まるで祭礼のような盛り上がりをみせたといわれます。「公方様のお膝元の江戸」から「天朝様のお膝元の東京」へとガラリと変身した、その立役者が下賜品の天酒つまり日本酒だったと思うのは、酒蔵勤務の贔屓目でしょうか。 この天盃頂戴の様子は浮世絵にも描かれており、日文研では歌川広重が描いた錦絵大判三枚綴 「東京幸橋御門内の図」を収蔵しています。     大きな幟に色とりどりの飾り物、鉦や太鼓のお囃子に多くの酒樽、何より人々の狂喜乱舞する様子がイキイキと描かれた、こちらまで楽しくなってしまう様な作品です。広重が描く嬉しさ満開の人々のパワーに押され、この資料をもとに帆前掛け「御酒頂戴」を作成しました。「御酒頂戴」と白抜きの幟を中心に、喜ぶ人々とその酒樽を意匠にあしらい、丁度良い長さのカフェエプロンサイズとしました。     ポットを2つ付け、そのうち1つはファスナー付きです。歴史ある錦絵に基づきながらもオシャレなデザイン尚且つ使い勝手よし!手前味噌ながらお薦めの一品です。 菊水日本酒文化研究所所蔵の錦絵「東京幸橋御門内の図」をデザイン化した菊水オリジナルの前掛け。 【菊水オリジナル】 前掛け(東京幸橋御門内の図) ¥2,915(税込) https://www.kikusui-sake.shop/c/shuki/kayoibukuro/21776   話を下賜品に戻しましょう。現在最も身近な皇室下賜品は、皇居勤労奉仕に参加したときに賜ることができる「和菓子」です。また現在では健康増進法の制定などで廃止されましたが、「恩賜煙草」も比較的よく知られた下賜品ではないでしょうか。 日文研ではこの「恩賜煙草」を資料として収蔵しています。 白い箱には黒で「賜」の文字が箔押しされており、煙草1本ずつに皇室を表す菊花紋章が入っています。市販はされておらず、叙勲者や園遊会出席者、宮内庁奉仕団、皇室関連ボランティア活動などへの謝礼品として下賜されていました。 1959(昭和34)年に天覧試合として後楽園球場で開催されたプロ野球試合の選手にも配られたそうですよ。 少し調べてみるだけでも、伝統工芸職工技術の保護育成として、また国民へのお心遣いとして、下賜品には多くの種類があり、またそれぞれに託された役割があること、そして時代の世相がそれぞれに表れていることが分かりました。あらためて日本の歴史文化を知る面白さを実感した次第です。 現在「恩賜煙草」は展示しておりませんが、錦絵大判三枚綴 「東京幸橋御門内の図」は複製を常設展示しています。十分に感染症予防も行いつつ、息抜きのおでかけに菊水日本酒文化研究所のご見学にいらっしゃいませんか?   菊水日本酒文化研究所 ▼ご見学申し込みはこちら https://www.kikusui-sake.com/home/jp/labo/ *注:特定の思想・主義・政治的立場などによる記事ではない旨ご理解をお願い致します。 <参考文献> 「日本の酒5000年」加藤百一著 技報堂出版 「たばこと共に七十余年」日本専売公社東京工場 宮内庁ホームページ https://www.kunaicho.go.jp/ 東京街人https://guidetokyo.info/ 内 滝口正哉著 *帆前掛け「御酒頂戴」は昔ながらの染め方のため染色助剤(色止剤)の匂いが残る場合がありますが、洗濯により軽減されます。また移染しやすいので他の物と分けて洗う等ご注意ください。

2021年01月20日

二王子岳 日本二百名山の一座、農耕の神山

テロワール新発田だより

菊水の蔵をいつも大きく包んでくれている二王子岳(にのうじだけ)。 加治川と胎内川に挟まれ、南北20kmにわたって蒲原平野に臨む飯豊連峰前衛の巨峰です。 古くから農耕の神山として新発田市民に仰ぎ親しまれたこの二王子岳、山麓の二王子神社には大国主命・豊受姫大神・一言主命・熊野加布呂命が祀られており、境内案内板には「古来より農業生産所業の守護神、除災承服身体擁護の神として由緒深遠霊験あらたか」と記されています。北越後の肥沃な大地を潤す清冽な雪解け水を湛える加治川の流れを見れば、まさに二王子岳は農耕の神山に違いありません。 私達に多くの恵みをもたらしてくれるこの霊峰にあやかり、また感謝の意を込めて菊水の蔵は「二王子蔵」としています。 二王子蔵の仕込み室の大きな窓から二王子岳と山裾に広がる圃場の風景が一体で眺望できるようになっています。 蔵人は「この窓から見える風景によりこの山と大地の恵みを深く実感する」と、「あらためて感謝を以って酒を醸すことができる」と言い、まさにこれこそ菊水が一番大事にしている気持ちなのです。 この二王子岳、飯豊連峰の全容が美しく広がる山頂からの羨望も抜群で、交通も便もよく、毎年多くの登山者やスキー客で賑わいます。これからの季節には「二ノックススノーパーク」が人気です。 二王子岳の斜面を生かした様々なスキー・スノーボードのコースがあり、用具のレンタルやスクールなども揃っているそう。またこちらにはナイター営業もあるので仕事終わりにひと滑り!という菊水社員もいるのです。 自然の恵みをもたらしてくれ、祈りの対象であり、人々を遊ばせてもくれる。新発田に生きる私達にとって二王子岳はなくてはならない存在なのです。二王子岳に抱かれたこの地に、菊水は今までもこれからも根を張り、感謝を込めてこの大地の恵みを醸してまいります。 ◆ブック型「菊水通信」はこちら  

2021年01月08日

|日文研eye|もうヒトツの菊水 皇室下賜品 御酒頂戴と恩賜煙草 

カルチャー

新年のTVニュースの定番といえば皇室の新年一般参賀の様子でしょうか。毎年1月2日、皇居において天皇皇后両陛下が国民から祝賀をお受けになる新年一般参賀、令和2年は68,710もの人が祝賀に参加したとのことですが、令和3年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、一般参賀は行わないこととなりました。また皇居などで除草,清掃,庭園作業などを行うボランティアである皇居勤労奉仕も人数が制限されているようです。コロナはこんな所にも影響が出るのですね。 さて、皇室や宮家に対して功績があった場合や、皇室のためにお勤め(上記の勤労奉仕など)をしたときに賜る品を「皇室下賜品」といいます。 皇室下賜品にはボンボニエール(砂糖菓子ボンボンを入れる小さな菓子器。日本では皇室の慶事の際に配られます)をはじめシガレットケース、花瓶、杯、懐中時計など様々な種類があります。 国内外向け問わず皇室のお気持ちを表される下賜品ですから、国内の名工の手によるものが多く、日本の伝統技術や国内産業を保護し育成する役割も持つといえるでしょう。下賜品には皇室を象徴する16枚の花弁の「菊の紋」が刻印されており大変貴重です。 現在はご下賜品を賜るという機会は少なくなりましたが、戦前までは様々な品物が下賜されていたのです。 遡ること150余年、明治元(慶応四、1868)年7月17日に江戸が東京と改められ、8月17日には幸橋御門内の元大和郡山藩柳沢家上屋敷が東京府庁となり、9月8日には明治と改元されました。 そして天皇東幸。京都御所を出発した明治天皇一行(その行列3300人余り!)が10月13日に江戸城西丸にお着きになられたのが10月13日です。 東京府に対して「今般御東輦に付東京市中一同ヘ御酒下賜候間夫々分配可取計候事」の御沙汰書が達せられました。天皇の御東幸を祝して「天盃下賜」つまりお酒が下賜されたのです。 11月4日、市中の名主たちが府庁に集められ下賜酒が配られたそうです。御酒のほか鯣(するめ)一連、土器(かわらけ)一片に木台をそえ、名主一人に酒入り瓶子(へいし)一対ずつが添えられたとの記録もあります。 当日は早朝から「天酒頂戴」「天賜盃」「天之美禄」「御神酒頂戴」などと大書した幟を先頭に府庁に出頭し、帰りは揃いの鉢巻きと法被の鳶衆が鉦や太鼓を打ち鳴らし、下賜酒を積んだ車が大勢の男女に引かれて町内に帰っていったそうです。 11月6、7両日には東京市民は家業を休み、注連縄を張り紅白の幕を引き回し、葉付きの竹で不浄を祓い、鏡餅など供物を献げて頂戴した「天酒」を飾り、踊り屋台や花車を出し、さらに揃いの衣装に花笠をつけ練り歩くなど、まるで祭礼のような盛り上がりをみせたといわれます。「公方様のお膝元の江戸」から「天朝様のお膝元の東京」へとガラリと変身した、その立役者が下賜品の天酒つまり日本酒だったと思うのは、酒蔵勤務の贔屓目でしょうか。 この天盃頂戴の様子は浮世絵にも描かれており、日文研では歌川広重が描いた錦絵大判三枚綴 「東京幸橋御門内の図」を収蔵しています。     大きな幟に色とりどりの飾り物、鉦や太鼓のお囃子に多くの酒樽、何より人々の狂喜乱舞する様子がイキイキと描かれた、こちらまで楽しくなってしまう様な作品です。広重が描く嬉しさ満開の人々のパワーに押され、この資料をもとに帆前掛け「御酒頂戴」を作成しました。「御酒頂戴」と白抜きの幟を中心に、喜ぶ人々とその酒樽を意匠にあしらい、丁度良い長さのカフェエプロンサイズとしました。     ポットを2つ付け、そのうち1つはファスナー付きです。歴史ある錦絵に基づきながらもオシャレなデザイン尚且つ使い勝手よし!手前味噌ながらお薦めの一品です。 菊水日本酒文化研究所所蔵の錦絵「東京幸橋御門内の図」をデザイン化した菊水オリジナルの前掛け。 【菊水オリジナル】 前掛け(東京幸橋御門内の図) ¥2,915(税込) https://www.kikusui-sake.shop/c/shuki/kayoibukuro/21776   話を下賜品に戻しましょう。現在最も身近な皇室下賜品は、皇居勤労奉仕に参加したときに賜ることができる「和菓子」です。また現在では健康増進法の制定などで廃止されましたが、「恩賜煙草」も比較的よく知られた下賜品ではないでしょうか。 日文研ではこの「恩賜煙草」を資料として収蔵しています。 白い箱には黒で「賜」の文字が箔押しされており、煙草1本ずつに皇室を表す菊花紋章が入っています。市販はされておらず、叙勲者や園遊会出席者、宮内庁奉仕団、皇室関連ボランティア活動などへの謝礼品として下賜されていました。 1959(昭和34)年に天覧試合として後楽園球場で開催されたプロ野球試合の選手にも配られたそうですよ。 少し調べてみるだけでも、伝統工芸職工技術の保護育成として、また国民へのお心遣いとして、下賜品には多くの種類があり、またそれぞれに託された役割があること、そして時代の世相がそれぞれに表れていることが分かりました。あらためて日本の歴史文化を知る面白さを実感した次第です。 現在「恩賜煙草」は展示しておりませんが、錦絵大判三枚綴 「東京幸橋御門内の図」は複製を常設展示しています。十分に感染症予防も行いつつ、息抜きのおでかけに菊水日本酒文化研究所のご見学にいらっしゃいませんか?   菊水日本酒文化研究所 ▼ご見学申し込みはこちら https://www.kikusui-sake.com/home/jp/labo/ *注:特定の思想・主義・政治的立場などによる記事ではない旨ご理解をお願い致します。 <参考文献> 「日本の酒5000年」加藤百一著 技報堂出版 「たばこと共に七十余年」日本専売公社東京工場 宮内庁ホームページ https://www.kunaicho.go.jp/ 東京街人https://guidetokyo.info/ 内 滝口正哉著 *帆前掛け「御酒頂戴」は昔ながらの染め方のため染色助剤(色止剤)の匂いが残る場合がありますが、洗濯により軽減されます。また移染しやすいので他の物と分けて洗う等ご注意ください。

2021年01月08日

にごり湯&にごり酒で、ひなびた温泉宿の気分に浸る

カルチャー

雪化粧した山の懐に抱かれるようにして佇む、ひなびた温泉宿ほど旅情をそそるものはない。あたりには白い湯煙が立ち昇り、かすかに硫黄の匂いが漂ってくる。乳白色のにごり湯の、体にやわらかいこと。露天風呂に浸かりながら、冬枯れの木々と雪が織りなす美しい景色を眺めていよう。   わが家の小さな浴室の中で、そんな妄想をしている。冬本番。この季節のいちばんの贅沢は、やはり温泉だ。しかしなかなか旅行にも行きづらい時分でもあるので、どうしたものかと思案してたら、ラジオからおもしろいニュースが流れてきた。   入浴剤が、めっちゃ売れてるというのだ!   わかるわかる、それ! 行きたくても、温泉、行けないもんね。だからせめて、居ながらにして温泉気分を楽しもうということだ! ユニットバスを岩風呂に改造するのはムリだけど、ドラッグストアで買ってきた「温泉の素」を投入して目をつぶれば、昔懐かしい風情のある秘湯の景色だって思い浮かべられる。   あ〜いい湯だったな。と風呂から上がると、まもなく食事の時間だ。温泉宿の夕食といったら、欠かせないのが日本酒。しかし今どき流行りの華やかですっきりキレイな日本酒では、ちょっと情緒がなさすぎないか。ここはもうちょっと昔造りな酒がいい。ということで、菊水の『にごり酒 五郎八』を冷蔵庫で冷やしておいた。   『五郎八』は「ごろはち」と読む。越後に伝わる民話に登場する山賊の頭領の名前なんだそうだ。どんな話なのかネットでは見つけられなかったけど、名前からすると、豪快で、そのくせ心やさしい山賊って感じかな? 悪徳なヤツらからは身ぐるみ剥いでも、決して庶民を襲うことはなかった、というような。 『五六八』とも書けるので、これを「イロハ」と読んだり、数字を足すと『おいちょかぶ』の強い役になるので縁起がいいとか、造り手が意図しなかった評判もあるようだ。   にごり酒というように、酒質は透明ではなく白く濁っていて、まったりとしている。濁りの成分は滓(おり)と呼ばれるものだ。滓とは何か、なぜ濁っているのか、日本酒の製造工程から見ていこう。   基本原料は、米と米麹と水。酵母によってアルコール発酵が進むと、ドロドロのもろみができあがる。酒の液体だけでなく、原料の粒つぶや分解物、酵母などの固形物が含まれているからだ。これを液体と固形物に分けるために、上槽という作業を行う。もろみを目の細かい布袋などに入れて搾って濾すのだ。 こうしてはじめて日本酒は透明に近い液体になり、これが正式名称『清酒』のゆえんである。酒税法では、濾すことが清酒の定義。袋に残った固形物は酒粕だ。   この清酒に対して『濁酒』、つまり濾してない酒もあって、『ドブロク』と呼ばれている。酒税法上は『その他の醸造酒』という区分だ。白くドロドロで、もろみの風味そのまま、甘みが強く、少し酸っぱい。   ドブロクは弥生時代から造られていたとされるが、濾す技術は奈良時代すでに存在したようだ。書物や木簡に「清酒(すみさけ)」の文字が発見されている。とはいっても清酒を造るには高度な技術を要し、高価だったので、飲めたのは武将や富豪など特権階級だけ。一般庶民が親しんだのは民間・自家醸造されたドブロクで、その手づくり感のある素朴な味わいこそが、まさに庶民の酒だったのである。   しかし明治時代になると、酒税法によって酒を造るには酒造免許が必要になった。民間のドブロク造りは禁止されたわけだ。それでも昔ながらのドブロクが飲みたいという声は強く、近年「ドブロク特区」として規制緩和された。特区内で自家産米で仕込み、自ら経営する民宿などで提供するためならドブロクが造れるようになったのだ。   では『にごり酒 五郎八』はドブロクかというと、そうではない。菊水独自の製法によって生まれた白濁酒であって、ドブロクではないけれど、その風味は一般的な清酒よりもずっとドブロクに近く、滋味深い。手づくりの温かさみたいなものが感じられ、なんだか気持ちがほっこりする味わいだ。     風呂上がり。冷蔵庫から『五郎八』を取り出した。キャップを開ける前に瓶をやさしく揺すって、下の方に溜まっていた滓を均一にする。そして、大きめのぐい呑みに注ぐと、土の塊のようなゴツゴツした酒器から、もろみの甘酸っぱい香りが立ち昇ってきた。   口に含むと、まったりと甘いのに、みずみずしい爽やかさもある。これは『五郎八』が、搾ってから一度も火入れをしていない生の酒だから。できたてのフレッシュ感があるのだ。 そのうえ水も一切加えてないので、アルコール度数は日本酒としてはかなり高い21度。口あたりがいいからスイスイ飲めてしまうが、そこは自制せねば。     『五郎八』には、旬の食材を使った鍋料理や濃いめの味付けの料理が合う。この日のメインは、脂ののった寒ブリの粗塩焼き。甘さと塩っぱさが互いの旨さを引き立て合う。辛口の酒が料理を引き立てるのとは違って、完全な相乗効果だ。旨みが濃厚なので、食事が済んだあともアテなしでイケルイケル。にごり湯&にごり酒で、体も心もポカポカ。おウチ温泉の夜は、静かに静かにふけていったのだった。   にごり酒『五郎八』商品情報     <参考文献> 酒に謎あり 著/小泉武夫 発行/日経ビジネス文庫 日本酒の科学 著/和田美代子 監修/高橋俊成 発行/講談社 情報誌 お酒のはなし 著・発行/酒類総合研究所 新潟清酒ものしりブック 監修/新潟清酒達人検定協会 発行/新潟日報事業者  

2021年01月07日

カラダの中から健やかに。日本人なら知っておきたい「発酵食のキホン」 〜vol.1 発酵ヂカラで免疫力アップ!〜

健康

<あま酒&発酵生活>   体の内側からキレイになる -レシピ付き-   最近つとによく耳にする“発酵食”。いざどんなものがそれに該当するの? と考えると、なにやら難しそうにも聞こえますが、私たち日本人が普段から食べているものには、発酵食品がいっぱい! たとえば、お味噌汁に使う味噌や、出汁をとるときの鰹節、調味料の醤油、納豆やお漬物なども発酵食。そう、じつは、日本は発酵王国と言われるほどの発酵先進国。しかも発酵食は、美味しくって栄養豊富、さらには腸内環境を整え免疫力を高める、ヘルシーライフをサポートするスゴい食べ物なんです。こんなうれしい魅力満載の発酵食は、日々の食事にどんどん取り入れたいもの。早速、おすすめのレシピをご紹介します。         <鶏肉のあったかグラタン>     (材料)  1人前 ・鶏むね肉……1枚(モモでもOK) ・スーパー酒粕 さかすけ……1/2カップ ・味噌……大さじ1 1/3 ・溶けるチーズ……適量 ・塩……少々 ・サラダ油……適量   (作り方) 1.鶏肉はひと口大に切り、塩少々をふる。 2.フライパンに油を入れて中火にかけ、鶏肉に火が通るまで焼く。 3.耐熱容器を用意する。内側に油を塗り、2の鶏肉を入れる。 4.ボウルに「スーパー酒粕 さかすけ」と味噌を入れてよく混ぜ合わせ、3にまんべんなくかける。 上からチーズを散らしてトースターでチーズが溶けるまで焼く。     味噌とチーズのコク旨な味がしっかり染み込んだ鶏肉は、「スーパー酒粕 さかすけ」の乳酸菌や麹効果もあり、パサパサにならずしっとり。香ばしく焼けば、お酒にもよく合う味わいになります。これに合わせるなら、「菊水の純米酒」がおすすめ。ひやでも、冬の寒い時などは特に、お燗にして合わせてもぴったりです。味噌や、酒粕ベースの「スーパー酒粕 さかすけ」が日本酒に合うのは言わずもがなですが、チーズとの相性も抜群なんですよ。   「鶏肉のあったかグラタン」で使う発酵食品は、味噌、チーズ、そして菊水の「スーパー酒粕 さかすけ」。大豆に米や麦などの麹を加えて発酵・熟成させて作る〈味噌〉は、日本人にとってなくてはならない、身近な調味料。血圧上昇の原因となる酵素を阻止する成分や、含まれる脂溶性物質には免疫力を高める効果もあります。〈チーズ〉は、加熱せず乳酸菌や酵素などの活性を残したナチュラルチーズと、ナチュラルチーズを加熱して発酵を止め、味を整えて加工したプロセスチーズとありますが、いずれも代表的な発酵乳製品。タンパク質や各種ビタミン、カルシウムなどの豊富な栄養が凝縮しています。そして菊水の「スーパー酒粕 さかすけ」は、清酒の製造工程から生まれた醗酵食品〈酒粕〉を乳酸菌で醗酵させた、ダブル醗酵食品です。酒粕がヨーグルト化したような味わいとテクスチャーで、酒粕よりアップした栄養と機能性成分を持つ、未知の可能性を持つスーパー酒粕なんです。これら3種の発酵食品を使った、“トリプル発酵”グラタンで、免疫力のアップ、そして旨味もアップの美味しい生活、送りましょ。       「スーパー酒粕 さかすけ」を鶏肉に混ぜてから焼けば、しっとり仕上げに。また焼きあがりにトッピングというのもアリ! 「スーパー酒粕 さかすけ」は塩分ゼロなので、塩分そのままに旨味をアップできます。     『スーパー酒粕 さかすけ』商品情報 https://www.kikusui-sake.com/amazake-plus/   フードコーディネート/タカハシユキ 撮影/中原一隆 文/中川節子

2021年01月07日

つぶやきレシピ |日々のささやかな“つぶやき”が、極上のつまみに変身

フード

日常に起こる、ほんのささいな出来ごと。ちょっぴりうれしかったことや、思わずクスッとしてしまったこと、はたまたついボヤきたくなるようなプチ残念なことなどなど……。 そんなとき、思わず口に出してつぶやいてしまうひと言が、今宵の〈つまみ〉に変身したら、なんだか楽しい。さらには、相性抜群のお酒とともに味わえば、明日もきっといい日!           Vol.5  「コートのポケットに、1000円札発見!」 冬のファッションの楽しみは、あれこれコートを替えること。キレイめからカジュアル系、ハーフやショートと、さまざまに気分を変えられるから、それだけでアガる〜。そしていま、ちょっとコンビニに行こうと羽織ったコートのポケットに、なんと1000円札を発見! うわぉ、最高! なんだか妙に得した気分だから、これで普段はなかなか買わない高級ポテチでも買って、超簡単おつまみつーくろっと。     「高級ポテチとトマトのトマト和え」 (材料)1〜2人分  ・完熟トマト……1個  ・トマトケチャップ……3回し  ・ホットペッパーソース……適量  ・高級ポテチ……1袋   (作り方)  1.トマトのヘタを落とし、横半分に切る。種をスプーンで除いてざく切りにする。 2.1のトマトをボウルに入れて、トマトケチャップを回しかける。 ホットペッパーソースも好みの量をかけて混ぜ合わせる。  3.2を器に盛り、ポテチにつけながらいただく。     ◎合わせたいお酒/「無冠帝」(吟醸酒)   もちろんそのまま食べても美味しいポテチですが、厚みもあってじゃがいもの味わいもしっかり感じられる“高級”モノなら、ディップソースにつけながら食べてもヘタれないし、美味しさも倍増。そしてこの「トマトのトマト和え」は、フレッシュトマトのみずみずしさと、トマトケチャップの甘酸っぱさを合わせた誰もが好む味わい。そこへホットペッパーソースを加えれば、スパイシーでリッチな風味がプラスされ、グンとお酒を呼ぶ味わいに。合わせたいのは、さらりとした口当たりとキレのよさが秀逸な菊水の吟醸酒「無冠帝」。1000円札発見のラッキー×高級ポテチの上昇気分を、さらに上向きにしてくれることうけあいです。 子供のおやつにする場合は、ホットペッパーソースをナシにしてもOKです。   フードコーディネート/タカハシユキ 撮影/中原一隆 文/中川節子

2020年12月11日

【日文研eye】明治・大正に綴られた文化人によるレシピ本を紐解く

カルチャー

自然界では寒くなる冬に備え、様々な食材が自らに栄養をたっぷりと蓄えて美味しくなる季節。いわゆる旬の時期は食材が美味しくなるだけでなく、含まれる栄養素がぐっと増える、私達にはとても有難い季節といえるでしょう。 食が大きな関心事であるのは今も昔も変わらないこと。約100年前の明治や大正時代にも現代と同じように、食に一家言ある文化人が居て、いまでいう旬のレシピ本なども多く出版されました。日文研には、往時の食をめぐる風景がしのばれる文献を多く所蔵しています。その中から何冊か紐解いてみましょう。 [caption id="attachment_1157" align="alignnone" width="640"] 久保田米遷著「年中総菜料理」(明治40年発行)[/caption] 久保田米遷著『年中惣菜料理』(明治40(1907)年発行) 明治の日本画家であり、画報記者でもあった久保田米遷(18252-1906)が記した1年365日、日付ごとに朝昼晩の献立集です。その数1000食分あまり!よく書いたものです。 例えば10月1日の献立をみてみましょうか。 あさ:白豆腐餡かけ汁。焼松茸柚子酢かけ、新大根浅漬、辣韭(らっきょう) ひる:小豆飯、鯛照焼、八丁味噌汁 錦糸玉子入 口柚子、奈良漬、塩押茄子 ばん:一塩鯖刺身 卸大根、椀 剥き海老 松茸 口柚子、ずいき膾、辛子漬 旬のものであり且つ豪華な食材を調理した、なんとも贅沢なメニューばかりです。こういった献立の列挙に加えて、いくつかの献立の作り方、また毎月1日の欄にはその月にちなんだ与謝蕪村などの句や季節の食材についてのエッセーが記されています。 また久保田の息子たちによる画や挿絵も多くあり、読み応え見応えたっぷりです。この充実した文化的な内容は単なる料理本のカテゴリーに収まりません。 さしずめ、グルメで教養ある文化人による、旬の食をテーマに日本の自然の豊かさを謳う1冊!といったところでしょうか。   同じく1年365日の献立を記した料理本なるも、久保田のものとは大分毛色の違う一冊をご紹介しましょう。『奥様 御三(おさん)どん 毎日のおかず 衛生と便利』(明治40(1907)年発行)です。こちらは前書きがふるっています。 [caption id="attachment_1161" align="alignnone" width="640"] 「奥様御三どん 毎日の惣菜 衛生と便利」(明治40年発行)[/caption] 「本書の発行に就いて」 一、お台所を御支配なさる主婦(おかみ)さんたちが、毎日おかまどの前に起(た)って、今日のおかずは何にしたものだろーかと、御配になる時に、この書(ほん)を開いて其(その)日付のところを御覧になりますと、ハァーンこれにしましょーと、御思案がつきます。 一、さればこの書はキツとお台所の、勝手よい所におく必要があります。 一、この書の巻末(おしまい)に「おかずの仕方」を添へておきました。これは皆さんのご参考までです。(以上原文まま) 今日の食事なににしようかと頭を悩ます奥様へのおすすめメニュー(巻末レシピ付)といったところでしょうか。こちらは朝昼晩の献立ではなく、この時期ならこの食材をこう調理してはいかが?といった示し方です。 同じ日付、10月1日の献立を見てみましょう。鮗(コノシロ)の焼き物、大根と鶏肉とこんにゃくの炒り煮、ずいき浸しもの等々が紹介されています。旬の食材を用いているのは同じですが、「年中惣菜料理」と比べるとぐんっと庶民的、実用的な料理本のようです。 いつの時代も食事を作る人が「今日なにしようかなぁ」と献立に悩み、プロの提案を頼りにするのは同じなのですね。こういう本を見ながら、明治の人たちはレパートリーを増やしていったのかしら…。なんだかとても親近感を覚える楽しい資料です。この2冊、発行が明治40年と同じ年なのも興味深いですよね。 続いては [caption id="attachment_1152" align="alignnone" width="640"] 「日用実典 食合いろは図解」(大正3年発行)[/caption] 『日用実典 食い合わせ いろは図解』(大正3(1913)年発行)をご紹介します。一緒に食べると取り合わせの悪い食材の組合せ、つまり食い合わせの悪いものを「いろは…」順で示した本です。食い合わせも古い伝承で、今は科学的根拠に乏しいものも多いことを最初にお断りしつつ、この資料の内容をみていきましょう。 ○梅 鰻は腹痛起ル 梅干しと鰻を一緒に食べてはいけない、とこれは聞いた事あるという方も多いのではありませんか?でも実際には腹痛を起こす根拠などはなく、今では逆に梅干しが鰻の消化を助ける働きも期待できると言われているのだとか。 ○豚ト田螺(タニシ)ヲ同食スレバ眉毛ガ脱(ヌケ)ル 田螺は湯がいたり味噌煮にして食べる地方もありますが、豚肉と一緒に食べると眉毛が抜けるとは!この食べ合わせによりなにがしかの化学変化が起きて脱毛の成分が出来るのか? 抜けるのは眉毛だけなのか? たくさんの?が頭に浮かび、ちょっと笑ってしまいました。 [caption id="attachment_1151" align="alignnone" width="640"] 食にとどまらず家相の吉凶や易術の秘伝などまでが書かれている[/caption] このように本のタイトル通りに食い合わせの悪いものの紹介のほか、お灸の心得、具合の悪いときに取るべき食材、家相の吉凶や易術の秘伝などまでが書かれているこの本、現代の私達からするとちょっと怪しい感じがしますが、広い意味での往時の長寿・健康ムック本といったところでしょうか。 大正3(1914)年の発行、20世紀初頭でもまだこのような伝承や口伝のものが信じられていたのか、とその後の現代までの短い期間に起こった科学や医学の進歩に目を見張る思いがします。 [caption id="attachment_1150" align="alignnone" width="640"] お灸をするときの心得歌?![/caption] いま私達が楽しんでいる食や信じている常識も、これから100年後には変わってしまうのでしょうか?食材や調理法、好まれるメニューなどは全く別のものになっているかもしれませんが、美味しいものを食べること自体は、これまでもこの先もずっと人類の大きな愉しみであり続けるように思います。100年後の食の世界をみることはかないませんが、今年の秋冬は、旬の食を美味しいお酒とともに楽しむ喜びを満喫することといたしましょう。 発行:菊水日本酒文化研究所 デジタルブックはこちら。印刷できます。

2020年11月09日

つぶやきレシピ |日々のささやかな“つぶやき”が、極上のつまみに変身

レシピ

日常に起こる、ほんのささいな出来ごと。ちょっぴりうれしかったことや、思わずクスッとしてしまったこと、はたまたついボヤきたくなるようなプチ残念なことなどなど……。 そんなとき、思わず口に出してつぶやいてしまうひと言が、今宵の〈つまみ〉に変身したら、なんだか楽しい。さらには、相性抜群のお酒とともに味わえば、明日もきっといい日!           Vol.4  「卵を割ったら双子だった!」 パカッ! の瞬間、思わず前のめり。なんと、黄身が双子だった〜‼︎ ありそうでなかなかないこのプチ・ミラクル、なんだか崩すのがもったいない……。そうだ、今日はこのラッキー卵をそのまま目玉焼きにして、ウチにある残り物食材で、みんな大好き味のひと皿を作ることに。大人はこれをつまみに一杯、子供はおやつやお弁当のおかずにもぴったり。見た目もなんだかハッピーなメニューの出来上がりです。     「じゃがいもとソーセージのカリカリ  双子の目玉焼きのせ」 (材料)2人分  ・じゃがいも……1個  ・ソーセージ……90g  ・玉ねぎ……1/2個  ・卵……1個  ・オリーブ油……大さじ1  ・バター……大さじ1 ・塩、胡椒……各少々  ・パセリのみじん切り……適量   (作り方)  1.じゃがいもは皮をむき1cm角に切って水にさらす。 ソーセージは1cm幅のぶつ切りに。玉ねぎは1cm角に切る。 2.フライパンに半量のバターとオリーブ油を入れて中火で熱し、 バターが溶けてきたらしっかりと水気を切ったじゃがいもを入れ、炒める。 全体がきつね色になるまでしっかりと炒めるのがポイント。 表面がカリカリになってきたら取り出す。  3.同じフライパンに残りのバターとオリーブ油を足し、強めの中火で玉ねぎを炒める。 透明になってきたらソーセージを加え炒め合わせる。 ソーセージに火が通ってきたらじゃがいもを戻し入れ、塩、胡椒で味を調え器に盛る。 4.フライパンにオリーブ油(分量外)を少量入れて目玉焼きを作り、塩、胡椒をふって3.にのせる。 上からパセリを散らす。     ◎合わせたいお酒/「菊水の純米酒」   冷蔵庫や野菜ストックにいつもありそうな材料で作れるこのメニューは、スェーデンの家庭料理「ピットイパンナ」からヒントを得たもの。目玉焼きは半熟気味に仕上げて、食べる際、黄身をとろりと割りほぐしながら混ぜて食べます。じゃがいもや卵のほっこり&こっくりした味わいには、お燗酒が相性も良くおすすめ。「菊水の純米酒」ならコクが強調され、ふくよかな旨味が広がります。燗上がりするお酒と合わせれば、気分も上々です。 そしてもちろん卵が双子でなくとも、普通の目玉焼きで十分美味しくいただけます。   フードコーディネート/タカハシユキ 撮影/中原一隆 文/中川節子

2020年11月09日

古のチラシ「引札」百花繚乱

カルチャー, テロワール新発田だより

私たちがチラシと呼んでいる広告宣伝のために作られ配布される印刷物、実は江戸の頃からあったのをご存じですか? もちろん今のような印刷技術はありませんから往時は木版画、名称も「引札」と呼ばれていたようです。始まったのは元禄の頃からで、町人文化の最盛期である文化文政の頃から花開いたと言われています。 江戸時代の商業主義の発展に伴って登場し、明治時代には印刷技術の革新もあり、多種多様に盛んに発行されるようになりました。それまでの店の看板や暖簾といった常設の広告と大きく異なり、お客様の手に渡せ、多くの人に伝達できるこの画期的な宣伝手段は隆盛を極めました。 引札という名称も諸説ありますが、お客様を引く引き付けるための札だから引札という説、また昔は「配る」ことを「引く」とも言っていたことから引札と呼ぶという説が有力です。一般に引札と呼んだのは大正の初めころまでで、それ以降はチラシと呼ばれるようになったと(関西では昔からチラシと呼んでいたという説もあり)言われています。   まるでその時代にタイムスリップ!収蔵品の一部をご紹介 菊水の日本酒文化研究所(日文研)も200枚を超える引き札を所蔵しています。初期の品と思われる墨一色の口上を述べただけのシンプルなものから、店舗内部を描いた多色刷りの美しい絵図に、まるで現在の通販のような販売の仕組みを朗々と述べる口上を添えた呉服店の立派な引き札、オーソドックスに干支を描いた年始のご挨拶用引札から洒落の効いたデザイン性の高いものなど、本当にバリエーション豊かです。往時の人々の生活を活き活きと伝えてくれる引札資料は、見ているとまるでその時代にタイムスリップしたような気持ちになれるのです。一部をご紹介しましょう。   正月引札 干支 年始の挨拶に配るために作られた引札を、特に正月引札と呼びます。干支や宝船、福の神など新しい年を言祝ぐに相応しい吉祥柄が描かれることが多い様です。日文研所蔵の正月引札の中から今年(令和二年)の干支である子(ねずみ)の引札です。ねずみ、打ち出の小槌に実った稲穂とお目出たいモチーフが満載。表装したら掛け軸になりそうですね。 お多福満載 楽器を奏でたり、書をしたためたり、お酒を飲んだり、あらやだオホホと笑い合ったり、楽しそうなお福さんがぎっしりと描かれており、賑やかでお目出度くて微笑ましい作品。それぞれに違った様子のお福さんに思わずじっくりと見入ってしまいます。このみっちり感はまるで引札版ウォーリーを探せ!ですね。   専門は巨大化させちゃえ 鮮魚商と料理仕出し屋の引札ですから、魚介モチーフを大胆に描いたのでしょうか。あり得ない巨大な伊勢海老を恵比寿様が笑顔で捕まえている、おめでたくてユニークなデザインです。このお店なら生きが良い鮮魚扱っていそう!と思ってしまう、今でも十分通用しそうな洒落た引札ですね。   金のなる木!? 商売繁盛の福の神である大黒様と恵比寿様が園芸に勤しんでいます。その木は「よくはたら木(良く働き)、ゆだんのな木(油断の無き)、あさお木(朝起き)、家内むつまじ木(家内睦まじき)」など、お金持ちになる心構えの文字で出来ています。商人への格言集といった風情です。   版元(印刷業者)の工夫 見本(テンプレート)躍進 同じデザインなのに、違うお店の引札。これぞ版元の工夫で大流行した見本帳商売の活用例です。片や東村山の運送店、もう片方は京都の米屋です。同じ図柄であっても、運送店の方には大正五年の暦が入っており、米屋のほうには大きな米という文字が。同じテンプレートでもオリジナリティを出せる余地があったことが見て取れますね。   究極の複合技。グラビアで広告で情報誌! 幕末から明治中期にかけて活動した人気絵師 月岡芳年が描いた「東京料理頗別品(とうきょうりょうり すこぶる べっぴん) 芝口 伊勢原」。浮世絵の画題によくあった店の看板娘を描く美人画と、その店の宣伝を兼ねて描くという、ハイブリッドな工夫を凝らした作品です。これは、伊勢原以外にも久保町の松栄亭、芝神明の車屋など高名な会席茶屋に各地の美人名妓や仲居を描いた揃物(シリーズもの)です。二階の手すりに寄る芸妓 柏屋小兼、三味線を置いて徳利を持つ芸妓 立花屋小登喜、奥の階段を上ってくるのは仲居のよしと云われています。明治四年の作、文明開化ムードが窓の外の西洋館に見て取れます。なお、タイトル中の別品は、特別料理の別品と、美人の別嬪に掛けているのです。     いかがでしたか?引札を見ていると、社会の中での人々の生活や営みは100年以上前も、技術の差はあれど、大きな違いなど無いなぁと思います。人々の生活とそれを支える商売があって、それぞれが繁盛のために工夫を凝らす。デザイナーとしての絵師、引札のコピーライティングには戯作者が多かったようですし、出版社としての版元がいて、出来上がった引札は世間に散らばって、その情報を頼りに市井の人が買い物をしたり、アートとして部屋に飾ったり。歴史は全くの別世界などではなく、現在と地続きなのだなと実感してしまいます。 引札は、その時代の生活に密着した大衆的なものであっただけに、人々の生活、当時の社会情勢や文化を知る手がかりとなり得る、とても貴重な史料であるといえるでしょう。   引用:菊水通信Book版 Vol.12 https://www.kikusui-sake.com/book/vol12/#target/page_no=5