北越後だより

2019年12月06日

生原酒が熟成するとどうなるの?味わいと香りを分析

1972年、日本初の缶入り生原酒として誕生した『ふなぐち菊水一番しぼり』は、毎日の晩酌としてはもちろん、旅行やアウトドアなど、あらゆる場所で楽しめるお酒です。『ふなぐち』は火入れ(加熱処理)を行わない生酒で、しぼりたてのフレッシュな味わいを楽しめるのが特徴ですが、「冷蔵庫などで熟成させるとおいしい」というお客様の声から、『熟成ふなぐち菊水一番しぼり』も生まれています。今回は、成分分析を使って、熟成による味わいと香りの変化に迫ります。   生原酒を熟成させるとおいしい!? 生原酒は、加熱処理や加水処理をしないフレッシュな瑞々しさが特徴のお酒です。菊水酒造が『ふなぐち菊水一番しぼり』を日本初の缶入り生原酒として発売したのは1972年のこと。それ以来、晩酌から旅行や山登りのお供として、幅広く愛されてきました。 しぼりたてのフレッシュが特徴の『ふなぐち』ですが、いつしか熟成させるとおいしいという声が聞こえてきました。なかには、自宅の冷蔵庫などで寝かせて熟成具合の変化を楽しんでいるというファンも。 そんな声に後押しされて1996年に誕生したのが一年以上低温熟成させた『熟成ふなぐち菊水一番しぼり』。しぼりたてとは違うコクのある味わいとトロリとした口当たりが楽しめる熟成酒です。   仕込み年度の異なる生原酒を分析。味わいや香りの変化が! 「味香り戦略研究所」による分析(2018年)を元に、仕込み年度の異なる3種類の『ふなぐち』を比較しました。 『熟成ふなぐち菊水一番しぼり』の容器に記されている製造日とは、容器に詰めた日ではなく、一年以上の熟成期間を経て、商品化された日付けです。 味わいチャートを見ると、2018年9月製造の『ふなぐち菊水一番しぼり』はフレッシュな酸味が特長で全体的にバランスが取れています。 2018年9月に製品化した『熟成ふなぐち菊水一番しぼり』はコクが強く、酸味は穏やか。うま味や熟成感が強く、これぞ熟成した日本酒といったデータになりました。 10年熟成酒として分析した1998年4月製品化の『熟成ふなぐち菊水一番しぼり』は酸味とコクが控えめ。熟成感がぐっと増し、芳醇な味わいを示すデータになりました。飲んでみると紹興酒やブランデーにも似た豊かな香味が感じられます。 また、2018年の『ふなぐち菊水一番しぼり』を基準とした香り成分分析結果を見ると、時間が経つと熟成香の成分が増大していくことがわかります。 好みの熟成度合いを探そう いろいろな味わいを楽しめるのも日本酒の面白さ。熟成の度合いで味わいや香りの変化が感じられるのも生原酒ならではの魅力です。しぼりたてのフレッシュさや、熟成が進んで生まれる芳醇なまろやかさを飲み比べて、自分好みの熟成度合いを見つけてみてはいかがでしょうか。 10年熟成の『ふなぐち』は、菊水本社のショップでお求めいただけます。   協力:味香り戦略研究所 【ショップ情報】 https://www.kikusui-sake.com/home/jp/labo/   『ふなぐち菊水一番しぼり』商品情報 https://www.kikusui-sake.com/funaguchi/index.html 『熟成ふなぐち菊水一番しぼり』商品情報 https://www.kikusui-sake.com/home/jp/products/p002/   「熟成酒の味わい」についてはこちらでも紹介しています。 ブック版 菊水通信vol.6

2019年12月06日

菊水の辛口が飲める、常連になりたいお店をご紹介。新橋「雪國」

200軒ほどの酒場がひしめく新橋は、サラリーマンのオアシスなんて言われている。 そんな路地裏の一角にある居酒屋「雪国」は、昭和55年7月7日、七夕に産声をあげた。それも「菊水の辛口」が誕生した2年後のことである。 藍染に白抜き、雪山がモチーフにされた小ぶりな暖簾をくぐると、店内はいい具合に狭小でカウンター9席のみ。店を切り盛りする女将、石黒千賀子さんの人柄に吸い寄せられるように、毎夜サラリーマン、OLが集い賑わっている。 お勧めの肴は「鯵の甘酢煮」、季節の「自家製カツオのたたき」、「キャベツとコンビーフ炒め」など。酒は各種揃えているが、なんと言っても店の看板に掲げられた「菊水の辛口」がメインだ。 「開店したばかりのころですね、新潟の姉から『新発田の菊水が金賞を取って人気があるらしいわよ』って聞いたものだから。それで扱うようになったんですよ」 「と言うことは、開店から38年間ず~っと菊水の辛口置いてるんですね。ちょっと一杯いただけますか」 「どうぞ。5時から6時半までタイムサービスなんですよ」 一杯500円の「菊水の辛口」が、その時間帯だけ破格の300円で提供されている。いや~飲み助にはありがたい。 「タイムサービスで6、7杯飲む人いるんですよ…」 「そりゃ凄い!」 冷え冷えのグラスでクイっと一杯、キリっと辛口でほどよい旨味。「鯵の甘酢煮」をいただきながら、また一杯。 「やっぱ美味しいな~」 「このお酒、飲みやすいのは当たり前なんですけど、料理の味を邪魔しないんですよね」 確かに。キレのある口当たりだけど、スッキリとし過ぎない味わいがどんな料理にも合うのだろう。甘口、または淡麗が際立つと途中で飲み飽きてくるけど、この酒はほどよい旨味も手伝って、いつまでも飲み続けることが出来るのだ。 「カツオのたたきもどうぞ」 カツオに薬味をタップリ乗せてカブリつく。 「菊水おかわりください」 「ね、進むでしょう」 「菊水の辛口」は突き抜けた個性があるお酒じゃない。でもどんな場面でもいつでも安心して飲める普遍的な味わいが潜んでいる。これが日本酒党に長年愛され続ける最大の理由だろう。 「3杯目おかわりします?」 「はいお願いします。ついつい飲んじゃいますね」 開店から38年という「雪国」の営みは、新橋にどっしりと根を下ろした燻し銀の趣がある。 女将の人柄、旨い肴と旨い日本酒は、穏やかに心身を癒してゆく。 「もう一杯いただけますか」 「あら4杯目、お強いですね」 酔いに任せてダラダラと時間を貪る、これが酒場の至福のひとときだ。 取材日:2018年6月21日   新橋「雪國」 【住所】東京都港区新橋2-10-9  【電話】 03-3508-9867 【営業】17時~23時(L.O.22時30分) 【休日】土・日・祝 【アクセス】JR各線「新橋駅」銀座口・烏森口から徒歩3分   取材・文/小野員裕   元祖 新潟の辛口酒 菊水の辛口