北越後だより

失敗しない、おいしい燗酒の作り方

いろいろな温度で楽しめる日本酒ですが、特に燗酒を好む人も少なくありません。とはいえ、家で燗酒を作ろうとすると、温度の加減が難しかったり、アルコールが飛びすぎてしまったりと、意外とコツがいるもの。ここでは、簡単に実践できる「おいしい燗酒の作り方」をご紹介します。

 

日本酒の魅力を引き立たせる「燗酒」とは?

お酒を温めることを「燗をつける」「お燗する」、温めたお酒のことを「燗酒」と呼びます。また、燗をつけてお酒のおいしさが引き出された状態を「燗上がり」と呼ぶことも。

冷やして飲む冷酒の人気が定着した一方で、近年では「燗」という日本酒ならではの魅力も見直されています。2019年に10周年を迎えた『全国燗酒コンテスト』(http://www.kansake.jp/#aConcept)が、温めておいしい日本酒を選ぶコンテストとして注目されるなど、温めるとうまみが増す燗酒を楽しむ人が増えてきています。

 

燗の温度によって香りや味わいが変化

「熱燗」や「ぬる燗」という言葉はご存知の方も多いでしょう。燗酒は温度によって呼び方が変わります。

30度くらいで「日向燗」。温度の高さを感じないくらいで、ほんのり香りが引き立つのが特徴です。

35度くらいで「人肌燗」。さわると暖かく、味にふくらみが出て、米や麹の香りがします。

40度くらいで「ぬる燗」。さわっても熱くはなく、よく香りが立ちます。

45度くらいで「上燗」。注いだときに湯気が出て、引き締まった香りを感じます。

50度くらいで「熱燗」。徳利から湯気が生じはじめ、さわると熱く感じるのがこの温度です。キレの良い辛口を感じ、香りがシャープになります。

55度くらいで「飛びきり燗」。徳利を持つと熱く、シャープな香りが際立ってより辛口になります。

 

自宅で簡単にできる燗酒の作り方

自宅でも少しの工夫でおいしい燗酒を簡単に作ることができます。その方法をご紹介しましょう。

①お酒を徳利の9分目まで注ぎます。このとき徳利の注ぎ口にラップをすると、お酒のいい香りが飛ばないのでおすすめです。

②鍋などに水を張って、お酒の入った徳利を浸します。水の量は、徳利の半分ほどの高さまで浸かるようにしましょう。

③水の量を調整したら、一度徳利を取り出して鍋を火にかけます。水が沸騰したら火を止めます。

④火を止めた鍋に徳利を浸します。熱い湯で手早く燗をするのがコツ。ぬる燗にしたい場合は時間を調整します。

⑤お酒が徳利の口まで上がってきたら、徳利を持ち上げます。

⑥中指を徳利の底に当ててみて、やや熱いと感じるのがちょうどいい燗の目安です。45度くらいの「上燗」がおいしいと言われることが多いですが、自分好みの温度を探しだすのも自宅で燗酒を作る楽しみのひとつです。

電子レンジで燗酒するポイント

急激に温度が上がってしまう電子レンジでも、ひと工夫すると簡単においしく燗酒ができます。500Wの場合で、お酒1合(180ml)を約40秒加熱すると、「人肌燗」程度に温まります。やはり徳利の注ぎ口にはラップで蓋をしましょう。レンジで温めると徳利の上部と下部で温度差ができるので、まず20秒ほど温めて一度取り出し、温度が均一になるよう徳利をすこし振ります。それからレンジに戻して、好みの温度になるまで少しずつ温めるのがおすすめです。

急激に温度が上がってしまう電子レンジでも、ひと工夫すると簡単においしく燗酒ができます。500Wの場合で、お酒1合(180ml)を約40秒加熱すると、「人肌燗」程度に温まります。やはり徳利の注ぎ口にはラップで蓋をしましょう。レンジで温めると徳利の上部と下部で温度差ができるので、まず20秒ほど温めて一度取り出し、温度が均一になるよう徳利をすこし振ります。それからレンジに戻して、好みの温度になるまで少しずつ温めるのがおすすめです。

 

お酒の温度を変えて楽しむ、料理とのペアリング

温度によって味や香りが変化する日本酒。菊水酒造では、味覚センサーを使って4つの温度帯ごとにコク、うまみ、ボディ感、コクの余韻、うまみの余韻、キレの6つの要素で分析して、料理とのペアリングを考えてみました。分析に使用したのは、菊水イチ燗上がりして、冷酒でもしっかり旨味がある「菊水の純米酒」です。

冷蔵庫から取り出したばかりの日本酒は5℃ほど。キレが際立っていて、繊細な味の料理と合わせても料理の味を邪魔しません。のどぐろやヒラメの刺身、アジのたたき、豆腐田楽のような自然なうまみがあって、さっぱりした食べ物との相性がいいと言えます。

 

常温の25℃では、キレが程よく感じられますが他の要素のバランスがいいのが特徴です。焼き魚や焼き鳥、鶏肉の唐揚げなど、塩味とうまみが程よく感じられる食べ物と合わせてみてはいかがでしょうか?

 

ぬる燗の40℃ほどになると、コクと旨味が膨らんでボディ感がぐっとアップします。ブリの照り焼きや豚肉の生姜焼きなど味わいがしっかりしたものとのペアリングがおすすめです。

 

熱燗として測定したのは、徳利を触るとアチッと感じるほどの60℃。コク、うまみ、ボディ感にさらに膨らみが出ます。すき焼き、モツ煮、豚肉のスペアリブなど、こっくりと濃い味付けの料理との相性がよくなります。

 温度によって味や香りが変わる「燗酒」。自分好みの温度で燗をつけて、楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

燗酒の作り方 監修:國府田宏行

協力:味香り戦略研究所

 

『菊水の純米酒』商品情報

菊水の純米酒 720ml
数量:

 

「料理とのペアリング」についてはこちらでも紹介しています。

ブック版 菊水通信vol.5