北越後だより

2021年05月28日

【菊水140周年】モノ・コトづくりを極める

皆さんこんにちは。菊水酒造です。 いつもご覧いただきましてありがとうございます。 第五弾は、”北越後の旅”気分プレゼントキャンペーン賞品、「ふなぐち菊水一番しぼり500mlアルミ缶」と「菊水の辛口500mlアルミ缶」の魅力を皆様にご紹介します。ぜひ最後までご覧ください♪ 多くの人が虜になった味「ふなぐち菊水一番しぼり」 今でこそ「コンビニ最強酒」の愛称で、皆様に親しまれている「ふなぐち菊水一番しぼり」ですが、かつては、蔵を訪れた方だけに振る舞われる「特別なお酒」だったのです。 その旨さは、噂を聞きつけて蔵を来る人たちが途絶えなかったほど、多くの人々を夢中にさせる味わいでした。 加熱を一切行わない、デリケートな生酒を商品化することは、簡単なことではありませんでしたが、3年に渡る試行錯誤の結果、1972年に日本初のアルミ缶入り生原酒として「ふなぐち菊水一番しぼり」が誕生しました。 「もっと多くの人に、このお酒の旨さを味わっていただきたい。」このただ一つの思いが、商品化への原動力となったのです。 その後、黄色いアルミ缶に入った「ふなぐち菊水一番しぼり」は、おかげさまで、2017年11月に累計出荷数量3億本を突破し、国内では「コンビニ最強酒」の愛称で親しまれ、海外では「缶の見た目がcool!」と多くの人たちに愛されています。   辛口ブームの先駆けとして誕生「菊水の辛口」 1980年代の淡麗辛口ブームの先駆けとして、1978年に発売された日本酒が「菊水の辛口」です。 甘口全盛期の時代に、菊水は急速な食生活の多様化を見据えて、今後求められるであろう味わいの開発に着手します。冴えた辛口の中に、しっかりとした旨味があり、どんな味わいの料理も引き立てる飲み飽きしない食中酒「菊水の辛口」は、構想から3年の月日を経て誕生しました。 写真は歴代の菊水の辛口達。2020年3月には、おいしさの特徴とこだわりの製法をお客様にわかりやすくお伝えするため、商品パッケージデザインを菊水独自の表現「新香味封」「非加熱充填」表記にリニューアルしました。 新鮮な香味を封じ込めている商品の特徴を「新香味」+「封」と表現し、蔵出しのフレッシュ感、軽快さと熟成による旨みがのった豊かな風味が味わえることを表しました。 いろいろな容器で楽しむ 生活の多様化が進む今、皆様のあらゆる日常に菊水が寄り沿い続けられるように、菊水商品は姿や形を変え、「美味しいモノ(商品)」「楽しいコト(シーン)」を提供しています。 その中でも、2019年3月に発売された「ふなぐち菊水一番しぼり500ml」は、小売・流通業界の経営・販促に関するニュース情報を発信する「ダイヤモンド・リテイルメディア」において「2019年の春夏新商品のヒットランキング清酒部門」で栄えある第一位に選ばれました。 2020年10月には新商品「菊水の辛口 500ml」が発売され、今後も伸び続ける商品としてアルミ缶ボトルは業界内で注目を集めています。日本酒の味わいを長くキープできるところや、容器の便利さから、幅広いお客様にご支持をいただいています。   500mlアルミボトル缶の魅力をおさらい 日常遣いやアウトドアの相棒としても、500mlアルミボトル缶はおススメです。 ①おいしさキープ! アルミ缶は日本酒の大敵である紫外線をシャットアウトする優れもの。酒の劣化を防いで、おいしさと風味をキープします。明日の晩酌時間も、しっかりおいしいフレッシュな味わいをお楽しみいただけます。 ②便利な容器 500ml缶は、リキャップできるボトル型の容器のため、保存や持ち運びがしやすいことが特徴です。瓶よりも軽く、買い物やお片付けもラクチンに♪ ③環境保護へ貢献 キャップと本体はともにアルミ製。何度でも生まれ変わることができるアルミ缶は、ごみの削減にもつながります。また、瓶に比べて軽量のため、輸送時の温室効果ガスの排出も抑制され、持続可能な社会に貢献します。 お酒に何を合わせる? 皆さんは、日本酒にどんな「おつまみ」を合わせますか?魚介系やお肉系、あっさりしたお漬物?季節の旬の食材などなど。そのマリアージュの可能性は無限大です。 只今、菊水では、創業140周年の感謝の気持ちを込めて「”北越後の旅”気分プレゼントキャンペーン」を実施しています。キャンペーン賞品「”北越後の旅”気分BOX」では、北越後産の美味しい食材や菊水の日本酒が抽選で140名様に当たります! 菊水おススメの「北越後のマリアージュ」をお楽しみいただけるチャンスです♪皆様ぜひこの機会にご応募ください♪ 最後までお読みいただきありがとうございました。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「“北越後の旅”気分プレゼントキャンペーン」は終了いたしました。たくさんのご応募をいただきありがとうございます。 ★☆★☆★☆★キャンペーン賞品のご紹介★☆★☆★☆★ ★A賞「"北越後の旅"気分BOX」 140名 北越後の特産品を詰め合わせたボックスです。菊水のお酒はもちろん、北越後の豊かな大地で育まれたお米や野菜などなど、ご自宅でこの地に訪れたような旅気分をお届けしたい、そんな想いで組み合わせました。(写真はイメージです。内容は変更となる場合がございます。ご了承ください。) ★ダブルチャンス賞「菊水オリジナルマスク」 1,000名 日本初の元祖生原酒缶「ふなぐち菊水一番しぼり」のイラストがワンポイントの菊水オリジナルマスクです。カラーは汚れが目立ちにくいライトグレー。やさしい肌触りの2層構造、洗える布マスクです。アタッチメント付きで、ひもの長さの調整が可能です。

2021年05月14日

【菊水140周年】魅力をどどーんとご紹介!

皆さんこんにちは。菊水酒造です。 第四弾は、”北越後の旅”気分プレゼントキャンペーン賞品、「”北越後の旅”気分BOX」と「菊水オリジナルマスク」の魅力を皆様にご紹介します。ぜひ最後までご覧ください♪ そもそも北越後って? 菊水が根ざす新発田市は、新潟県北部に位置しています。少し車を走らせれば、周りには山と川、海があり、それらは四季によって表情を変え、常に私たちを楽しませてくれます。 私たちは、菊水を取り巻く周り環境や風土を、親しみを込めて「北越後」と呼んでいます。 キャンペーンが始まる 今年で創業140周年を迎えた菊水。お客様へ日頃の感謝の気持ちをお伝えするべく、4月1日より「”北越後の旅”気分プレゼントキャンペーン」が始まりました。 キャンペーンコンセプト「北越後の旅気分」とは? 巷では、コンビニ最強酒という愛称で親しまれる、日本初のアルミ缶入り生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」。 アルミ缶容器は、日本酒の大敵である紫外線をシャットアウトし、しぼりたての味わいをキープします。毎日の晩酌はもちろん、軽量で持ち運びもしやすいため、旅行や山登りといったアウトドアまで、いつでもどんな場所でも楽しめるお酒として皆様に愛されています。 実際に「ふなぐち」をお召し上がりになられたお客様からは、次のような嬉しいお言葉も届いています。 ・「昔、社員旅行のバスで飲みました。」 ・「夫婦で新潟旅行をした時に初めて飲みました。」 ・「スキー旅行で飲んでからハマり、飲むたびにあの日を思い出します。」 皆様の旅のおとも、楽しかった思い出のおともに私たちの商品が選ばれていること、大変嬉しく思います。 実家への帰省や旅行が気軽にできなくなった今、あの時の楽しかった日を思い出していただきたい、少しでも北越後を旅した気分、帰省した気分を味わっていただきたい。 その思いをもとに今回の「"北越後の旅”気分BOX」が生まれました。 気になる「"北越後の旅"気分BOX」の中身は? 北越後の名産品、10品を詰め合わせたボックスです。 こちら、創業140周年ということで140名様にプレゼントいたします! 菊水のお酒はもちろん、北越後の豊かな大地で育まれたお米や野菜などなど、ご自宅でこの地に訪れたような旅気分をお届けしたい、そんな想いで組み合わせました。(写真はイメージです。内容は変更となる場合がございます。ご了承ください。) ①ふなぐち菊水一番しぼり 500ml缶 ずっとおいしく、もっとべんりに。「ふなぐち菊水一番しぼり 500ml缶」は、リキャップできるボトル型。 開封後も保存や持ち運びがしやすく、明日のふなぐちも、しっかりおいしいフレッシュな味わいをお楽しみいただけます。 ②菊水の辛口 500ml缶 「菊水の辛口 500ml缶」は、昨年10月に発売された新商品。 アルミ缶容器で、日本酒の大敵である紫外線をシャットアウトし、冴えた辛さとキレの良さ、そして豊かな旨味が続きます。 ③北越後新発田産コシヒカリ 2キロ 「どうしたらしたら美味しくなるか。どうすれば農薬を減らせるか。」 美味しい味わいはもちろん、安心安全を追求する「㈱そうえん」様が育てた新潟県新発田産コシヒカリです。 優れた水質を持つ新発田の加治川水系に位置する水田で、丹精込めて栽培されます。 ④北越後新発田産アスパラガス 「太くて、甘くて柔らかい!」新発田産のアスパラガス。 「しばたのアスパラくん」という、ゆるキャラがいるくらい、新発田のアスパラは美味しくて人気です。 ⑤菊水農園産枝豆 菊水が所有する農園で、社員達が愛情を込めて育てた枝豆を皆様にお届けします。 枝豆作付面積第一位の新潟県。ザル一杯の枝豆が食卓に並ぶのは、新潟の夏の風物詩とも言えます。 ⑥北越後胎内産ハム ポークあらびきウインナー 30年以上にわたり、ドイツの伝統製法にこだわって作り続けられるウインナー。 皮パリッ。肉汁じゅわ~。音、香り、味わいetc…。新潟県民に愛され続ける大人気商品です。 ⑦北越後 笹川流れの塩 新潟県村上市にある絶景「笹川流れ」。そこで採れた海水だけを使用し、昔ながらの製法で作られる、手作りの国産塩です。 自然の恵みがたっぷり詰まった、絶品お塩です。 ⑧月岡温泉の入浴剤 月岡の湯 新発田にある温泉街「月岡温泉」の湯は、まるで新緑を思わせるようなエメラルドグリーン色。 温泉で過ごした「特別な時間」をプレゼントできる「月岡の湯」は、お土産としても大人気です。 ⑨菊水オリジナル絵葉書 菊水酒造5代目蔵元、髙澤大介が撮影した「北越後の風景」を収めた絵葉書。 北越後の自然豊かで情緒あふれる四季の移ろいを感じていただければ幸いです。 ⑩蕗谷虹児クリアファイルA4 新発田出身の「蕗谷虹児」が描いた「花嫁」。使いやすいA4サイズのクリアファイルは蕗谷虹児記念館でしか手に入らないレアな一品。 美しい花嫁の姿に視線が集まること間違いなし。 ★ダブルチャンス賞「菊水オリジナルマスク」 ちなみに…抽選で1,000名様に当たる!ダブルチャンス賞もあります! 日本初の元祖生原酒缶「ふなぐち菊水一番しぼり」のイラストがワンポイントの菊水オリジナルマスクです。 カラーは汚れが目立ちにくいライトグレー。やさしい肌触りの2層構造、洗える布マスクです。アタッチメント付きで、ひもの長さの調整が可能です。 月岡の湯で身も心も極楽になった後は、北越後の食材を味わいながら、菊水で一献。 過去に旅した北越後の風景や、これから訪れる北越後の風景に思いを馳せながら、絵葉書を眺める。 おうちにいながら、まるで北越後に来たかのような「特別な時間」を皆様が過ごせますように。 最後までお読みいただきありがとうございました!

2021年05月10日

【菊水140周年】新潟県民も大好き!酒蔵が〇〇をつくる!?Part1

皆さんこんにちは。菊水酒造です。 第三弾は「”北越後の旅”気分プレゼントキャンペーン」賞品「菊水農園産枝豆」の「生育奮闘記 Part1」を皆様にご紹介します。 新潟の隠れ名産品? 皆さん、新潟の特産品と言えば、何を思い浮かべますか? 「お米」「日本酒」「米菓」「ル・レクチェ」「越後姫」「笹団子」…といったところでしょうか? 今回、キャンペーン賞品としてお届けする「枝豆」。実は新潟県民が愛してやまない、隠れ?名産品なのです! 枝豆年間消費量は日本一。全国平均の3倍にもあたります。 そして、そして。作付面積も日本一。こちらは、全国の約12%に相当します。 ところがどっこい!出荷量は全国で5位なのです。 これは、作った枝豆のほとんどが新潟県内で消費されてしまうことを表しています。 県内の枝豆をほぼ消費してしまう新潟県民。その新潟県民達が愛する北越後産の美味しい枝豆を、皆様にもぜひ味わっていただきたい!この思いを胸に、140周年の感謝の気持ちをお届けするべく、菊水社員が立ち上がりました。 いざ開始! 4月下旬、晴れた青空の中、枝豆プロジェクトが始動しました。 菊水がある場所から車で10分。こちらが今回の舞台になります。 以前は大豆を育てていたこちらの畑で、今年は菊水社員達が枝豆づくりに挑みます。 初めが肝心、耕す作業 最初は、トラックターを使って土を耕す作業から。 土をほぐすことはもちろん、攪拌することで土の中に空気を含ませ、微生物たちの活動を活発化させます。 その後、枝豆の栄養となる肥料を畑に撒き、トラックターを使ってもう一度耕します。この作業により、土の中全体を均一化させます。 畝づくり 土台ができたら、お次は畝(うね)をつくります。 畝づくりでは、木の棒に紐を括り付けた「秘密兵器」を使います。この秘密兵器を使うことで、畝同士の間隔を一定に保ちながら、綺麗な直線の畝をつくることができます。 ピーンと張ったひもの上をみんなでフミフミしながら、行進。こちらが畝づくりの目印となるのです。 皆でつくった目印の上を、畝立て機が進むことで、両側に土が盛られ、畝がつくられていきます。その後、鍬やとんぼを使って、畝の形を綺麗に整えていきます。 畝ができたらお次は? ようやく、種植えに取り掛かります。枝豆は種から育てる方法と、苗から育てる方法がありますが、今回は畑への定着率が高い、種植えを行いました。 今回作る枝豆は「おつな姫」という品種で、新潟の夏の銘品としても有名です。茶豆のような良い香りと甘み、コクが深くてふっくらとした味わいが人気の秘密です。収穫量も良く、比較的丈夫な品種のため、初心者にとっても育てやすいと言われています。 作った畝に等間隔で穴を空け、3粒ずつ枝豆の種を撒き、その上に土を軽くかぶせます。 みんなで協力して、手際よく作業を進めていきます。 元気な芽が出ますように。一つ一つ思いを込めて、大切に植えました。   最後までお読みいただきありがとうございました! 次の記事「生育奮闘記 Part2」では、引き続き、枝豆生育状況と菊水社員達の奮闘記をお届けします。次回もぜひご覧くださいね! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「“北越後の旅”気分プレゼントキャンペーン」は終了いたしました。たくさんのご応募をいただきありがとうございます。   ★☆★☆★☆★キャンペーン賞品のご紹介★☆★☆★☆★ ★A賞「"北越後の旅"気分BOX」 140名 北越後の特産品を詰め合わせたボックスです。菊水のお酒はもちろん、北越後の豊かな大地で育まれたお米や野菜などなど、ご自宅でこの地に訪れたような旅気分をお届けしたい、そんな想いで組み合わせました。(写真はイメージです。内容は変更となる場合がございます。ご了承ください。) ★ダブルチャンス賞「菊水オリジナルマスク」 1,000名 日本初の元祖生原酒缶「ふなぐち菊水一番しぼり」のイラストがワンポイントの菊水オリジナルマスクです。カラーは汚れが目立ちにくいライトグレー。やさしい肌触りの2層構造、洗える布マスクです。アタッチメント付きで、ひもの長さの調整が可能です。

2021年05月01日

【菊水140周年】時代を超えて愛される、新発田出身のイケメン画家「蕗谷虹児」とは?

こんにちは。菊水酒造です。 第二弾は「”北越後の旅”気分プレゼントキャンペーン」賞品の「花嫁クリアファイル」の絵を描いた「蕗谷虹児記念館」を訪れました。 菊水がある、北越後新発田を訪れた気持ちでご覧ください♪ 新発田出身の有名画家「蕗谷虹児」。皆さん、何と読むか分かりますか? 茨城県出身の私。恥ずかしながら、一発で読めませんでした…。 ただ、小さい頃は絵を描くことが好きで、1日美術館で過ごせるタイプの私。 「ふきや こうじ」記念館は、思わず仕事のことを忘れてしまうほど、とても素敵な空間でした…。 異国風の建物に視線が釘付け 新発田駅から車で6分。新発田市民文化会館の隣に「蕗谷虹児記念館」があります。 まず、入館する前に目を奪われたのが、記念館の美しい外観です。 こちらは、世田谷美術館の建設にも携わった有名な建築家、内井昭蔵氏の作品で、「記念館そのもので虹児の抒情を具現したい」と、「大正ロマン時代」と「寒いところに建つ」イメージを取り入れて建設されたロシア正教会風の建物です。1998年には、優れた公共建築物として称される「公共建築百選」にも認定されました。   建物は八角形の形をしており、天井も高く、教会を思わせるような出立です。入口のフォントが可愛いくて、思わずパシャリ。4月中旬の青空の中に建つ姿も素敵でしたが、雪が降る頃のグレーの空にもまた、建物が美しく映えておススメだそう。 「蕗谷虹児記念館」って? 今回、施設内を案内してくださった長谷川静生さん。普段は、蕗谷虹児に関する歴史や作品の調査研究をなさっています。 記念館は、1987年7月1日に新発田市で開館され、蕗谷家から寄贈された原画800余点を柱に、直筆原稿や書籍、印刷物、その他資料3,000余点ほどが収蔵されています。 一斉を風靡した蕗谷虹児 今から123年前、明治31年に新潟県新発田市に生まれた蕗谷虹児は、幼い頃から絵を好み、竹久夢二(画家・詩人)の絵を透写するなどして遊ぶ少年でした。絵の才能に恵まれた虹児。21歳には、少年時代からの憧れであった竹久夢二の紹介で「少女画報」に挿絵を描き、画家デビューを果たしました。その後も、「令女界」(密文館)や「少女倶楽部」(講談社)、川端康成と吉屋信子の小説で人気のあった「少女の友」(実業日本社)の挿絵・表紙絵を担当しました。 虹児が手がける作品の多くは、女性がモデル。 社会進出が始まった大正時代を生きる女性たちの、凛とした顔立ちが目を引きます。色気もありながら、力強い眼差しで何かを訴える女性たちは、当時多くの人の心を奪ったことでしょう。 今も根強いファンが多い「花嫁」 さて、皆さんは時代を超えて愛され続ける虹児の作品「花嫁」はご存じですか? こちらは虹児が絵だけではなく、作詞を手掛けたことでも有名です。 「絵にしたい情景は、詩と同時に思い浮かぶものだ」と虹児はよく言っていたそうです。 写真や肉眼では分かりにくいかもしれませんが、実はこの花嫁、目にうっすらと涙がにじんでおり、記念館では虫眼鏡を使って観察することができます。 新発田市では、虹児の業績を讃え、切手としても販売しています。この切手を結婚式の招待状に貼る方も多いのだとか。 https://www.post.japanpost.jp/kitte_hagaki/stamp/furusato/1997/0618_yome/index.html 「”北越後の旅”気分プレゼントキャンペーン」では、こちらの「花嫁」のクリアファイルもプレゼントいたします。使いやすい、A4サイズのファイルで、蕗谷虹児記念館のみで販売されているレアな一品です。その華やかで、目を引く上品な花嫁の姿に、みんなの視線も釘付けになること間違いなし!(?)。ぜひ、涙の跡も探してみてくださいね。 様々なタッチで描かれた作品がズラリ 他にも、記念館では虹児が手掛けた多くの作品を見ることができます。 数々の有名雑誌を飾った絵をはじめとし、パリ留学の影響を受けた作品や、国際的にも評価が高い線画、どこか懐かしさを覚える童話の挿絵など。思わず時間を忘れてしまうほど、魅力的な作品がたくさんあります。 ↓菊水蔵元4代目 髙澤英介が愛した「語らい」も展示されています(写真右下1949年作、記念館ができた1987年寄贈)。 ↓高畑勲さんが総監督を務めた「アルプスの少女 ハイジ」の参考資料にもなったとされる「アルプスの少女」。 私が心惹かれた展示はこちら「POP」の作品たち。時代は1930年頃の作品です。 つらい戦争下にあっても、その時代を生きる女性たちの姿を、美しく、そして力強く描いています。 あの有名映画監督と意外な共通点 そしてなんとビックリ。 虹児は、日本初!長編カラーアニメーション『白蛇伝』(1958年作、東映映画)の公開に先駆けて、テスト製作された短編カラーアニメ「夢見童子」を監督したそうです。 当時、虹児は作画、構成、台本、広告デザイン等、一人何役も担当したそう。長谷川さんから聞いた話によると、このプロデュース・スタイルは、のちの宮崎駿のスタイルの先駆けとなったともいわれているそうです。 すっかり、蕗谷虹児の魅力にドはまりした私。 記念館から出る前から、「また、ゆっくり来よう…!」と心に固く誓ったのでした…。 今後、皆さんも新潟に訪れる機会がありましたら、ぜひ新発田市の「蕗谷虹児記念館」を訪れてみてくださいね。 ▼蕗谷虹児記念館 https://www.city.shibata.lg.jp/shisetsu/kanko/kanko/1005062.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「“北越後の旅”気分プレゼントキャンペーン」は終了いたしました。たくさんのご応募をいただきありがとうございます。 ★☆★☆★☆★キャンペーン賞品のご紹介★☆★☆★☆★ ★A賞「"北越後の旅"気分BOX」 140名 北越後の特産品を詰め合わせたボックスです。菊水のお酒はもちろん、北越後の豊かな大地で育まれたお米や野菜などなど、ご自宅でこの地に訪れたような旅気分をお届けしたい、そんな想いで組み合わせました。(写真はイメージです。内容は変更となる場合がございます。ご了承ください。) ★ダブルチャンス賞「菊水オリジナルマスク」 1,000名 日本初の元祖生原酒缶「ふなぐち菊水一番しぼり」のイラストがワンポイントの菊水オリジナルマスクです。カラーは汚れが目立ちにくいライトグレー。やさしい肌触りの2層構造、洗える布マスクです。アタッチメント付きで、ひもの長さの調整が可能です。

2021年04月23日

【菊水140周年】ドイツ伝統製法で作られた、こだわりの「ポークあらびきウインナー」に迫る

こんにちは。菊水酒造です。 このたび菊水は創業140周年を迎えることができました。 この140周年という節目の年を迎えることができますのも、日頃よりご愛飲いただきます皆様方のおかげでございます。この場を借りて改めて感謝申し上げます。 さて、こちらでは、現在開催中の「”北越後の旅”気分プレゼントキャンペーン」の豪華景品達の魅力や、菊水が根ざす北越後の情景をご紹介します! ぜひ、北越後を旅する感覚で、楽しんでいただけたら嬉しいです。 記念すべき第一弾は、キャンペーン賞品のひとつ北越後胎内産ハム「ポークあらびきウインナー」の製造現場を取材させていただきました! まだ桜が残る4月13日。 新潟県胎内市にある「ハナノ産業」さんにお邪魔しました。 菊水がある新発田市から、車で北上すること約30分。 緑が生い茂る山に囲まれ、綺麗な川(胎内川)が流れる場所に、今回のキャンペーン賞品「ポークあらびきウインナー」をつくる製造場があります。 製造場の近くには、胎内フィッシングパークやロイヤル胎内パークホテル、胎内スキー場があり、大人も子どもも四季を通して楽しめる施設が充実し、新潟県民に愛される観光スポットとしても有名です。 こちらの「ハナノ産業」さんは、昭和63年に創業し、主にお肉の加工製造を行っています。 ドイツ伝統製法の指導を受け継ぎ、30年以上に渡り、手作りのハム・ソーセージを作り続けています。 ドイツ伝統製法も大きな魅力の1つですが、もちろん素材にもこだわりが。 新鮮な新潟県産の豚肉だけを使い、肉の旨味がより染み込むように時間をかけて熟成させています。その後、天然スモークハウスで桜の木をいぶして、じっくり燻製を行います。 安全第一をモットーに塩や調味料はすべて天然物を選ぶというのもハナノ産業さんのこだわり。ぎりぎりまで塩分を低く押さえ、健康にも配慮したやさしい味わいに仕上げています。 ふと、工場の中を見渡すと、そこには、たくさんのお手紙と新潟県民にはおなじみのTVアナウンサーの皆さんの色紙たちが。 北越後に根差して30年、ハナノ産業さんのこだわり、やさしさが商品を通して伝わり、地域のみんなに愛されつづける企業であることを物語っていました。 さて、その気になるお味は? さっそく「ポークあらびきウインナー」を食べてみました! 従業員の皆さんに聞いたところ「ボイル」と「焼き」どちらもおススメ!とお伺いしたので、調理方法を変えて、食べ比べを楽しんでみました。 焼きの方は、写真からも伝わるように「皮パリ&ジューシー」。噛めば噛むほど肉汁が溢れ、歯ごたえもしっかり。 いぶした香りがしっかり感じられ、一昨年にキャンプ場でしたBBQを思い出しました。おいしい! 次はボイル。「あ、甘い!」思わずこぼれた言葉です。 焼きの方はジューシーさが魅力的でしたが、こちらは焼きよりも脂が甘く感じました!ソーセージ特有の皮の歯ごたえが抑えられ、スープに入れても美味しそう。 個人的には、外気分を味わいたい時は焼き。さらっと食べたいときはボイルがおススメです。 さて、ソーセージに合わせるお酒と言えば、ビールを思いつく方が多いと思いますが、今回は菊水の日本酒を合わせてみました! というのも、ソーセージ自体の香りがとてもよく、お肉の味わいがしっかりと感じられるので、日本酒の香りもより引き立たせられ、相乗効果が生まれるのでは…?と思ったからです。 ソーセージをかじり「ふなぐち菊水一番しぼり」を一口。 …はい、ビンゴ!美味しくない訳がない!!! 生原酒のふなぐちは、アルコール度数19度、旨味たっぷりの濃い味わいが特徴なのですが、お肉の味わいは消えず、口の中いっぱいにお肉の旨味が広がりました。 そしてふなぐちをまた一口。 今度は、日本酒のフルーティーな香りが口、鼻の中に広がり、心が満たされる感じ。 贅沢ってこういうことを言うんだなぁと、時間の流れをゆっくり感じながら、特別な時間を過ごしました。   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「“北越後の旅”気分プレゼントキャンペーン」は終了いたしました。たくさんのご応募をいただきありがとうございます。    

2021年03月29日

|日文研EYE|日本のお花見のルーツを辿る

コロナ禍での二度目の春。各地の桜の名所にはいろいろな感染防止対策が講じられ色々な制約はありますが、やはり桜だよりには心躍るものですね。 さて、「飲み物や食べ物をもって桜の下で催す宴会」という、これまで日本でお馴染みであったこのお花見の習慣は、世界的にみても珍しかったようです。 様々な文献を紐解くと、日本独特の花見に2ツのルーツがありました。ひとつは貴族・武士など特権階級文化の花見、もう一つは農民文化の花見です。 奈良時代の貴族は中国に倣い梅の花を愛でる梅花の宴を行っていました。遣唐使が廃止された平安時代には日本古来の桜が梅より人気となり、貴族が宮中行事として桜の樹の下で優雅に歌を詠み、花見の宴を開きました。花といえば桜を指すようになったのがこの頃。奈良時代に作られた万葉集には梅を詠んだ歌が多く、平安時代の古今和歌集には桜の歌が断然多いことからも人気が逆転した事実が読み取れます。 鎌倉・室町時代には武士階級で花見の風習が広がります。豊臣秀吉が京都・醍醐山に700本もの桜を植樹し、千名超えの招待客という「醍醐の花見」が有名です。貴族や武士は単なる楽しみとしてだけではなく、権力誇示や支配階級であることの確認など政治の延長として豪華な花見を開いた側面もあったようです。 [caption id="attachment_1184" align="alignnone" width="640"] 行厨とは台枠の中に重箱・酒器などを組み込み、物見遊山に携行したもの。提重、野弁当、花見弁当とも称される資料です。様々な食器や酒器がコンパクトに、運びやすく作られています。当品には燗銅壺がセットになっており、野外で温酒を楽しんだことを教えてくれます。[/caption] 一方で農民たちが昔から行っていた農事としての花見もあります。ご馳走を詰めた重箱や酒をたずさえて山に入り、桜の木の下で宴を催し、春に桜の木へ降りてくるという田の神様に豊作を祈願する「春山入り」「春山行」と称される宗教色の強い行事です。農民たちは桜の咲き具合でその年の豊・凶作を占ったとか。まさにこれは日本人の自然信仰の姿。山、海、森や草木など自然界のすべてに神が宿っている=八百万の神を信じ、崇拝する気持ちに他なりません。 庶民が娯楽としてお花見を楽しむ様になったのは江戸時代から。八代将軍吉宗が風光明媚な場所に桜を植え、庶民に開放したことをきっかけに桜の下で宴会を楽しむ花見のスタイルが広まりました。 戦がなくなり特権階級のものだった花見も庶民が楽しめる時代になったこと、神人共食を行う日本古来の自然信仰、何より日本人の美意識にぴったりな桜の花、これらが長い歴史の中で融合し、現在のような日本独特のお花見スタイルになったのでしょう。 [caption id="attachment_1185" align="alignnone" width="640"] 菊水酒造が根差す北越後の桜の名所の一つ。のどかな田園風景の中に壮大な桜並木がどこまでも続いています。[/caption] 桜の木の下で乾杯!とはいきませんが、桜の開花を喜びながら一献、この時期だけの風情を楽しみたいものです。 参考:菊水日本酒文化研究所 ■デジタルブック『菊水通信』3号より https://www.kikusui-sake.com/book/vol3/#target/page_no=9

2021年01月20日

二王子岳 日本二百名山の一座、農耕の神山

菊水の蔵をいつも大きく包んでくれている二王子岳(にのうじだけ)。 加治川と胎内川に挟まれ、南北20kmにわたって蒲原平野に臨む飯豊連峰前衛の巨峰です。 古くから農耕の神山として新発田市民に仰ぎ親しまれたこの二王子岳、山麓の二王子神社には大国主命・豊受姫大神・一言主命・熊野加布呂命が祀られており、境内案内板には「古来より農業生産所業の守護神、除災承服身体擁護の神として由緒深遠霊験あらたか」と記されています。北越後の肥沃な大地を潤す清冽な雪解け水を湛える加治川の流れを見れば、まさに二王子岳は農耕の神山に違いありません。 私達に多くの恵みをもたらしてくれるこの霊峰にあやかり、また感謝の意を込めて菊水の蔵は「二王子蔵」としています。 二王子蔵の仕込み室の大きな窓から二王子岳と山裾に広がる圃場の風景が一体で眺望できるようになっています。   蔵人は「この窓から見える風景によりこの山と大地の恵みを深く実感する」と、「あらためて感謝を以って酒を醸すことができる」と言い、まさにこれこそ菊水が一番大事にしている気持ちなのです。 この二王子岳、飯豊連峰の全容が美しく広がる山頂からの羨望も抜群で、交通も便もよく、毎年多くの登山者やスキー客で賑わいます。これからの季節には「二ノックススノーパーク」が人気です。 二王子岳の斜面を生かした様々なスキー・スノーボードのコースがあり、用具のレンタルやスクールなども揃っているそう。またこちらにはナイター営業もあるので仕事終わりにひと滑り!という菊水社員もいるのです。 自然の恵みをもたらしてくれ、祈りの対象であり、人々を遊ばせてもくれる。新発田に生きる私達にとって二王子岳はなくてはならない存在なのです。二王子岳に抱かれたこの地に、菊水は今までもこれからも根を張り、感謝を込めてこの大地の恵みを醸してまいります。 ◆ブック型「菊水通信」はこちら  

2021年01月08日

|日文研EYE|もうヒトツの菊水 皇室下賜品 御酒頂戴と恩賜煙草 

新年のTVニュースの定番といえば皇室の新年一般参賀の様子でしょうか。毎年1月2日、皇居において天皇皇后両陛下が国民から祝賀をお受けになる新年一般参賀、令和2年は68,710もの人が祝賀に参加したとのことですが、令和3年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、一般参賀は行わないこととなりました。また皇居などで除草,清掃,庭園作業などを行うボランティアである皇居勤労奉仕も人数が制限されているようです。コロナはこんな所にも影響が出るのですね。 さて、皇室や宮家に対して功績があった場合や、皇室のためにお勤め(上記の勤労奉仕など)をしたときに賜る品を「皇室下賜品」といいます。 皇室下賜品にはボンボニエール(砂糖菓子ボンボンを入れる小さな菓子器。日本では皇室の慶事の際に配られます)をはじめシガレットケース、花瓶、杯、懐中時計など様々な種類があります。 国内外向け問わず皇室のお気持ちを表される下賜品ですから、国内の名工の手によるものが多く、日本の伝統技術や国内産業を保護し育成する役割も持つといえるでしょう。下賜品には皇室を象徴する16枚の花弁の「菊の紋」が刻印されており大変貴重です。 現在はご下賜品を賜るという機会は少なくなりましたが、戦前までは様々な品物が下賜されていたのです。 遡ること150余年、明治元(慶応四、1868)年7月17日に江戸が東京と改められ、8月17日には幸橋御門内の元大和郡山藩柳沢家上屋敷が東京府庁となり、9月8日には明治と改元されました。 そして天皇東幸。京都御所を出発した明治天皇一行(その行列3300人余り!)が10月13日に江戸城西丸にお着きになられたのが10月13日です。 東京府に対して「今般御東輦に付東京市中一同ヘ御酒下賜候間夫々分配可取計候事」の御沙汰書が達せられました。天皇の御東幸を祝して「天盃下賜」つまりお酒が下賜されたのです。 11月4日、市中の名主たちが府庁に集められ下賜酒が配られたそうです。御酒のほか鯣(するめ)一連、土器(かわらけ)一片に木台をそえ、名主一人に酒入り瓶子(へいし)一対ずつが添えられたとの記録もあります。 当日は早朝から「天酒頂戴」「天賜盃」「天之美禄」「御神酒頂戴」などと大書した幟を先頭に府庁に出頭し、帰りは揃いの鉢巻きと法被の鳶衆が鉦や太鼓を打ち鳴らし、下賜酒を積んだ車が大勢の男女に引かれて町内に帰っていったそうです。 11月6、7両日には東京市民は家業を休み、注連縄を張り紅白の幕を引き回し、葉付きの竹で不浄を祓い、鏡餅など供物を献げて頂戴した「天酒」を飾り、踊り屋台や花車を出し、さらに揃いの衣装に花笠をつけ練り歩くなど、まるで祭礼のような盛り上がりをみせたといわれます。「公方様のお膝元の江戸」から「天朝様のお膝元の東京」へとガラリと変身した、その立役者が下賜品の天酒つまり日本酒だったと思うのは、酒蔵勤務の贔屓目でしょうか。 この天盃頂戴の様子は浮世絵にも描かれており、日文研では歌川広重が描いた錦絵大判三枚綴 「東京幸橋御門内の図」を収蔵しています。     大きな幟に色とりどりの飾り物、鉦や太鼓のお囃子に多くの酒樽、何より人々の狂喜乱舞する様子がイキイキと描かれた、こちらまで楽しくなってしまう様な作品です。広重が描く嬉しさ満開の人々のパワーに押され、この資料をもとに帆前掛け「御酒頂戴」を作成しました。「御酒頂戴」と白抜きの幟を中心に、喜ぶ人々とその酒樽を意匠にあしらい、丁度良い長さのカフェエプロンサイズとしました。     ポットを2つ付け、そのうち1つはファスナー付きです。歴史ある錦絵に基づきながらもオシャレなデザイン尚且つ使い勝手よし!手前味噌ながらお薦めの一品です。 菊水日本酒文化研究所所蔵の錦絵「東京幸橋御門内の図」をデザイン化した菊水オリジナルの前掛け。 【菊水オリジナル】 前掛け(東京幸橋御門内の図) ¥2,915(税込) https://www.kikusui-sake.shop/c/shuki/kayoibukuro/21776   話を下賜品に戻しましょう。現在最も身近な皇室下賜品は、皇居勤労奉仕に参加したときに賜ることができる「和菓子」です。また現在では健康増進法の制定などで廃止されましたが、「恩賜煙草」も比較的よく知られた下賜品ではないでしょうか。 日文研ではこの「恩賜煙草」を資料として収蔵しています。 白い箱には黒で「賜」の文字が箔押しされており、煙草1本ずつに皇室を表す菊花紋章が入っています。市販はされておらず、叙勲者や園遊会出席者、宮内庁奉仕団、皇室関連ボランティア活動などへの謝礼品として下賜されていました。 1959(昭和34)年に天覧試合として後楽園球場で開催されたプロ野球試合の選手にも配られたそうですよ。 少し調べてみるだけでも、伝統工芸職工技術の保護育成として、また国民へのお心遣いとして、下賜品には多くの種類があり、またそれぞれに託された役割があること、そして時代の世相がそれぞれに表れていることが分かりました。あらためて日本の歴史文化を知る面白さを実感した次第です。 現在「恩賜煙草」は展示しておりませんが、錦絵大判三枚綴 「東京幸橋御門内の図」は複製を常設展示しています。十分に感染症予防も行いつつ、息抜きのおでかけに菊水日本酒文化研究所のご見学にいらっしゃいませんか?   菊水日本酒文化研究所 ▼ご見学申し込みはこちら https://www.kikusui-sake.com/home/jp/labo/ *注:特定の思想・主義・政治的立場などによる記事ではない旨ご理解をお願い致します。 <参考文献> 「日本の酒5000年」加藤百一著 技報堂出版 「たばこと共に七十余年」日本専売公社東京工場 宮内庁ホームページ https://www.kunaicho.go.jp/ 東京街人https://guidetokyo.info/ 内 滝口正哉著 *帆前掛け「御酒頂戴」は昔ながらの染め方のため染色助剤(色止剤)の匂いが残る場合がありますが、洗濯により軽減されます。また移染しやすいので他の物と分けて洗う等ご注意ください。

2021年01月07日

つぶやきレシピ |日々のささやかな“つぶやき”が、極上のつまみに変身

日常に起こる、ほんのささいな出来ごと。ちょっぴりうれしかったことや、思わずクスッとしてしまったこと、はたまたついボヤきたくなるようなプチ残念なことなどなど……。 そんなとき、思わず口に出してつぶやいてしまうひと言が、今宵の〈つまみ〉に変身したら、なんだか楽しい。さらには、相性抜群のお酒とともに味わえば、明日もきっといい日!           Vol.5  「コートのポケットに、1000円札発見!」 冬のファッションの楽しみは、あれこれコートを替えること。キレイめからカジュアル系、ハーフやショートと、さまざまに気分を変えられるから、それだけでアガる〜。そしていま、ちょっとコンビニに行こうと羽織ったコートのポケットに、なんと1000円札を発見! うわぉ、最高! なんだか妙に得した気分だから、これで普段はなかなか買わない高級ポテチでも買って、超簡単おつまみつーくろっと。     「高級ポテチとトマトのトマト和え」 (材料)1〜2人分  ・完熟トマト……1個  ・トマトケチャップ……3回し  ・ホットペッパーソース……適量  ・高級ポテチ……1袋   (作り方)  1.トマトのヘタを落とし、横半分に切る。種をスプーンで除いてざく切りにする。 2.1のトマトをボウルに入れて、トマトケチャップを回しかける。 ホットペッパーソースも好みの量をかけて混ぜ合わせる。  3.2を器に盛り、ポテチにつけながらいただく。     ◎合わせたいお酒/「無冠帝」(吟醸酒)   もちろんそのまま食べても美味しいポテチですが、厚みもあってじゃがいもの味わいもしっかり感じられる“高級”モノなら、ディップソースにつけながら食べてもヘタれないし、美味しさも倍増。そしてこの「トマトのトマト和え」は、フレッシュトマトのみずみずしさと、トマトケチャップの甘酸っぱさを合わせた誰もが好む味わい。そこへホットペッパーソースを加えれば、スパイシーでリッチな風味がプラスされ、グンとお酒を呼ぶ味わいに。合わせたいのは、さらりとした口当たりとキレのよさが秀逸な菊水の吟醸酒「無冠帝」。1000円札発見のラッキー×高級ポテチの上昇気分を、さらに上向きにしてくれることうけあいです。 子供のおやつにする場合は、ホットペッパーソースをナシにしてもOKです。   フードコーディネート/タカハシユキ 撮影/中原一隆 文/中川節子

2020年12月11日

【日文研eye】明治・大正に綴られた文化人によるレシピ本を紐解く

自然界では寒くなる冬に備え、様々な食材が自らに栄養をたっぷりと蓄えて美味しくなる季節。いわゆる旬の時期は食材が美味しくなるだけでなく、含まれる栄養素がぐっと増える、私達にはとても有難い季節といえるでしょう。 食が大きな関心事であるのは今も昔も変わらないこと。約100年前の明治や大正時代にも現代と同じように、食に一家言ある文化人が居て、いまでいう旬のレシピ本なども多く出版されました。日文研には、往時の食をめぐる風景がしのばれる文献を多く所蔵しています。その中から何冊か紐解いてみましょう。 [caption id="attachment_1157" align="alignnone" width="640"] 久保田米遷著「年中総菜料理」(明治40年発行)[/caption] 久保田米遷著『年中惣菜料理』(明治40(1907)年発行) 明治の日本画家であり、画報記者でもあった久保田米遷(18252-1906)が記した1年365日、日付ごとに朝昼晩の献立集です。その数1000食分あまり!よく書いたものです。 例えば10月1日の献立をみてみましょうか。 あさ:白豆腐餡かけ汁。焼松茸柚子酢かけ、新大根浅漬、辣韭(らっきょう) ひる:小豆飯、鯛照焼、八丁味噌汁 錦糸玉子入 口柚子、奈良漬、塩押茄子 ばん:一塩鯖刺身 卸大根、椀 剥き海老 松茸 口柚子、ずいき膾、辛子漬 旬のものであり且つ豪華な食材を調理した、なんとも贅沢なメニューばかりです。こういった献立の列挙に加えて、いくつかの献立の作り方、また毎月1日の欄にはその月にちなんだ与謝蕪村などの句や季節の食材についてのエッセーが記されています。 また久保田の息子たちによる画や挿絵も多くあり、読み応え見応えたっぷりです。この充実した文化的な内容は単なる料理本のカテゴリーに収まりません。 さしずめ、グルメで教養ある文化人による、旬の食をテーマに日本の自然の豊かさを謳う1冊!といったところでしょうか。   同じく1年365日の献立を記した料理本なるも、久保田のものとは大分毛色の違う一冊をご紹介しましょう。『奥様 御三(おさん)どん 毎日のおかず 衛生と便利』(明治40(1907)年発行)です。こちらは前書きがふるっています。 [caption id="attachment_1161" align="alignnone" width="640"] 「奥様御三どん 毎日の惣菜 衛生と便利」(明治40年発行)[/caption] 「本書の発行に就いて」 一、お台所を御支配なさる主婦(おかみ)さんたちが、毎日おかまどの前に起(た)って、今日のおかずは何にしたものだろーかと、御配になる時に、この書(ほん)を開いて其(その)日付のところを御覧になりますと、ハァーンこれにしましょーと、御思案がつきます。 一、さればこの書はキツとお台所の、勝手よい所におく必要があります。 一、この書の巻末(おしまい)に「おかずの仕方」を添へておきました。これは皆さんのご参考までです。(以上原文まま) 今日の食事なににしようかと頭を悩ます奥様へのおすすめメニュー(巻末レシピ付)といったところでしょうか。こちらは朝昼晩の献立ではなく、この時期ならこの食材をこう調理してはいかが?といった示し方です。 同じ日付、10月1日の献立を見てみましょう。鮗(コノシロ)の焼き物、大根と鶏肉とこんにゃくの炒り煮、ずいき浸しもの等々が紹介されています。旬の食材を用いているのは同じですが、「年中惣菜料理」と比べるとぐんっと庶民的、実用的な料理本のようです。 いつの時代も食事を作る人が「今日なにしようかなぁ」と献立に悩み、プロの提案を頼りにするのは同じなのですね。こういう本を見ながら、明治の人たちはレパートリーを増やしていったのかしら…。なんだかとても親近感を覚える楽しい資料です。この2冊、発行が明治40年と同じ年なのも興味深いですよね。 続いては [caption id="attachment_1152" align="alignnone" width="640"] 「日用実典 食合いろは図解」(大正3年発行)[/caption] 『日用実典 食い合わせ いろは図解』(大正3(1913)年発行)をご紹介します。一緒に食べると取り合わせの悪い食材の組合せ、つまり食い合わせの悪いものを「いろは…」順で示した本です。食い合わせも古い伝承で、今は科学的根拠に乏しいものも多いことを最初にお断りしつつ、この資料の内容をみていきましょう。 ○梅 鰻は腹痛起ル 梅干しと鰻を一緒に食べてはいけない、とこれは聞いた事あるという方も多いのではありませんか?でも実際には腹痛を起こす根拠などはなく、今では逆に梅干しが鰻の消化を助ける働きも期待できると言われているのだとか。 ○豚ト田螺(タニシ)ヲ同食スレバ眉毛ガ脱(ヌケ)ル 田螺は湯がいたり味噌煮にして食べる地方もありますが、豚肉と一緒に食べると眉毛が抜けるとは!この食べ合わせによりなにがしかの化学変化が起きて脱毛の成分が出来るのか? 抜けるのは眉毛だけなのか? たくさんの?が頭に浮かび、ちょっと笑ってしまいました。 [caption id="attachment_1151" align="alignnone" width="640"] 食にとどまらず家相の吉凶や易術の秘伝などまでが書かれている[/caption] このように本のタイトル通りに食い合わせの悪いものの紹介のほか、お灸の心得、具合の悪いときに取るべき食材、家相の吉凶や易術の秘伝などまでが書かれているこの本、現代の私達からするとちょっと怪しい感じがしますが、広い意味での往時の長寿・健康ムック本といったところでしょうか。 大正3(1914)年の発行、20世紀初頭でもまだこのような伝承や口伝のものが信じられていたのか、とその後の現代までの短い期間に起こった科学や医学の進歩に目を見張る思いがします。 [caption id="attachment_1150" align="alignnone" width="640"] お灸をするときの心得歌?![/caption] いま私達が楽しんでいる食や信じている常識も、これから100年後には変わってしまうのでしょうか?食材や調理法、好まれるメニューなどは全く別のものになっているかもしれませんが、美味しいものを食べること自体は、これまでもこの先もずっと人類の大きな愉しみであり続けるように思います。100年後の食の世界をみることはかないませんが、今年の秋冬は、旬の食を美味しいお酒とともに楽しむ喜びを満喫することといたしましょう。 発行:菊水日本酒文化研究所 デジタルブックはこちら。印刷できます。